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キルヒホッフの法則|枝分かれした回路の解き方

電池が 2 個入った回路を渡されて、まん中の枝にどちら向きの電流が流れるかをきかれたとします。図を見ただけでは分かりません。

分からないまま、向きを勝手に決めて先へ進みます。答えが負になったら、実際は逆向きだったというだけ。大きさは正しく出るため、解き直す手間はいりません。

分かれ道で電荷はたまらない

第一法則です。電流が分かれる点で、入ってくる電流の合計と出ていく電流の合計が等しくなる。

導線の途中に電荷がたまることはありません。入った電荷はそのまま出ていきます。

一周すると電位は元に戻る

第二法則です。回路のどこかから出発して 1 周し、出発点へ帰ってくると、電位は出たときの値に戻ります。

坂を上って下って、元の場所に帰れば高さが戻るのと同じです。途中で上がったぶんと下がったぶんが、必ず打ち消し合う。

通り抜けるときの符号

一周するあいだ、部品を通るたびに電位が上がるか下がるかを書きとめます。決め方は 2 つだけ。

電池を負極から正極へ通れば、起電力のぶんだけ電位が上がる。逆向きなら下がる。
抵抗を電流と同じ向きに通れば だけ下がり、逆向きに通れば だけ上がる。

抵抗では、電流の流れる向きに進むと電位が下がります。電流は電位の高いほうから低いほうへ流れるためです。

例:電池が 2 個ある回路を解く

の電池(内部抵抗 )と の電池(内部抵抗 )を並べ、共通の枝に をつなぎます。

3 本の枝の電流を 、、 と置き、向きはどれも共通の枝へ向かう向きに決めます。

分岐点で第一法則を書きます。

の電池と を含む回路を 1 周します。

の電池と を含む回路も 1 周。

を消して整理します。

上の式を 3 倍、下の式を 2 倍して引くと が消えます。

を戻すと 、 になりました。

負の答えが意味していること

が負です。決めた向きが外れていた、というだけで、大きさは で正しい。

実際には の電池へ向かって電流が流れこんでいます。強いほうの電池に押し返され、弱いほうの電池が充電されている状態です。

例:エネルギーで検算する

答えが正しいかを、電力の出入りで確かめられます。強い電池が送り出す電力は 。

受けとる側を数えます。内部抵抗での消費が と 、 での消費が 、弱い電池に入るぶんが 。

足すと です。送り出した電力と一致しました。

例:3 本の枝を数える

未知数の数と式の数が合うかを、先に確かめておきます。枝が 3 本なら未知数は 3 つ。

分岐点は 2 か所ありますが、そこから作れる独立な式は 1 つだけです。もう 1 つは同じ式の書き直しになる。

残る 2 つは 1 周の式から作ります。独立な回路の数は、枝の数から分岐点の数を引いて 1 を足した値になる。

枝の数だけ電流に名前をつける

分岐点から第一法則の式を作る

足りないぶんを 1 周の式でおぎなう

21 歳の学生が書いた

この 2 つの法則を発表したとき、ゲオルク・キルヒホッフはケーニヒスベルクの大学院生で 歳でした。ポートランド大学の Aziz S. Inan による論文によると、 年に Annalen der Physik und Chemie へ出した最初の論文に、電圧の法則と電流の法則の両方が入っています。

指導していたのはフランツ・エルンスト・ノイマンでした。同じ論文の中でキルヒホッフは、この仕事がオームの法則の続きにあたると書いています。

回路を解いたら になりました。どう読むのが正しいですか。

  • 計算を間違えたので、やり直す
  • 決めた向きが逆で、大きさは
  • 電流が ぶん減っている
__RESULT__

向きは自分で決めたものなので、外れていれば符号が負になります。大きさのほうは正しく求まっているため、向きを書き直すだけで済みます。

抵抗を、電流の流れる向きに沿って通り抜けました。電位はどうなりますか。

  • だけ上がる
  • だけ下がる
  • 変わらない
__RESULT__

電流は電位の高いほうから低いほうへ流れます。流れる向きに進むと下りになるため、 と書きます。逆向きに通るときだけ です。

向きが分からないまま立式できるところが、この 2 つの法則の使いどころです。決めた向きの正誤は、解いたあとに符号が教えてくれます。

枝が何本もある回路では、各枝の電流に名前をつけて向きを決めます。この向きはあてずっぽうでよく、外れていても支障がない。答えが負になったら、実際は逆向きだったというだけです。大きさは正しく求まるため、解き直す手間はいりません。第一法則は分かれ道で電荷がたまらないこと、第二法則は 1 周すると電位が元へ戻ること。電池を負極から正極へ通れば電位が上がり、抵抗を電流と同じ向きに通れば $IR$ だけ下がる。電源が 2 つある回路を解くと片方の電流が負になり、その電池が充電されていると分かります。電力の出入りを足して検算する手順、$1845$ 年に $21$ 歳の学生が最初の論文で両方を書いた話まで。