キルヒホッフの法則で複雑な回路を解く方法

オームの法則だけでは解けない複雑な回路があります。枝分かれが多い回路や電源が複数ある回路を扱うときに必要になるのが、キルヒホッフの法則です。

2 つの法則

キルヒホッフの法則は、電流に関する第一法則と電圧に関する第二法則の 2 つからなります。

第一法則(電流の法則)

回路の分岐点(ノード)に流れ込む電流の合計と、流れ出す電流の合計は等しい。つまり、分岐点で電荷がたまったり消えたりしないということです。

第二法則(電圧の法則)

回路の任意の閉じたループを一周したとき、電圧の上昇と降下の合計はゼロになる。エネルギー保存則の回路版です。

数式で書くと、第一法則は分岐点において

第二法則は任意の閉ループにおいて

となります。

第一法則の使い方

ある分岐点に 3 本の枝があり、 A と A が流入しているとすると、流出する電流

です。水の流れで考えると、川が合流すれば水量が増え、分岐すれば水量が分かれるのと同じです。

第二法則の使い方

閉ループを一周するとき、電源(起電力)は電圧の上昇、抵抗は電圧の降下を与えます。ループの向きを決めたら、次のルールで符号をつけます。

電源

ループの向きが − 極から + 極へ通過するとき 、逆なら

抵抗

ループの向きが電流の向きと同じなら 、逆なら

具体的な解法手順

2 つの電源と 3 つの抵抗を含む回路を例にとると、次の手順で解きます。

各枝の電流に名前をつけて向きを仮定する

分岐点について第一法則の式を立てる

独立なループについて第二法則の式を立てる

連立方程式を解く

電流の向きは仮定で構いません。計算結果が負になったら、実際の電流は仮定と逆向きだったということです。

計算例

起電力 12 V の電源と 6 V の電源が並列に接続され、それぞれ内部抵抗 1 Ω を持ち、外部抵抗が 4 Ω の回路を考えます。

第一法則から は外部抵抗を流れる電流)。

ループ 1(12 V 電源側):

ループ 2(6 V 電源側):

これを解くと A、 A、 A が得られます。外部抵抗には 3 A の電流が流れ、12 V の電源が 2 A、6 V の電源が 1 A をそれぞれ供給している状況です。

キルヒホッフの法則は 1845 年にドイツの物理学者グスタフ・キルヒホッフが 21 歳のとき発表しました。電気回路だけでなく、配管ネットワークの流量計算や熱回路の解析にも同様の考え方が応用されています。

分光学でも重要な業績を残した物理学者(1824–1887)。キルヒホッフの放射法則でも知られる。

キルヒホッフの法則を使えば、どんなに複雑な回路でも原理的には解くことができます。回路の分析において最も汎用的な道具です。