体は式では解けません。ところが つ目がじゅうぶん軽ければ、話が変わります。軽いものは重い つの動きに何の影響も与えないので、決まった舞台の上を動くだけになります。
その舞台を、 つと一緒に回りながら見ます。この立場では重い つが止まって見え、代わりに回ることによる遠心の効きが現れます。
引く力と遠心の効きが釣り合う場所を探すと、ちょうど か所あります。ラグランジュが 年に見つけたので、ラグランジュ点といいます。
つは つを結ぶ直線の上に、残る つは つと正三角形をつくる位置にあります。内側から L1、L2、L3、そして L4 と L5 と呼びます。
L1、L2、L3 は、惑星の内側と外側、そして太陽をはさんだ反対側にあります。
この つは釣り合ってはいますが、鉛筆を立てたときの釣り合いと同じです。少しずれると、そのまま離れていきます。
内側へずれれば太陽の引きが勝って落ちていき、外側へずれれば遠心の効きが勝って出ていきます。戻す向きの力がありません。
それでも探査機を置くことはできます。数週間に 度、わずかに噴かして押さえてやればよいのです。燃料は 年で秒速数メートルぶんしか要りません。
L4 と L5 は違います。こちらは押さえなしで居つづけられます。
力の釣り合いだけを見れば、こちらも不安定です。ところがずれて動きはじめると、回ることによる横向きの効きが働きます。その効きがずれる向きを曲げるので、離れていかずに点のまわりを回りはじめます。
ただし条件があります。 つの天体の質量の比が 対 より離れていることです。太陽と惑星の組み合わせは、どれもこの条件を満たしています。
地球と月の組み合わせも満たします。地球と月の L4、L5 には、うっすらとした塵の雲があるという観測があります。
木星の軌道の L4 と L5 には、小惑星が群れています。木星の 度先と 度後ろで、どちらも木星と同じ速さで太陽を回っています。
押さえなしで居つづけられるので、太陽系ができたころから貯まりつづけてきました。見つかっているだけで 万個を超えます。
先を行く群れにはギリシャ側の、後ろの群れにはトロヤ側の英雄の名が付けられました。まとめてトロヤ群と呼びます。
木星だけではありません。海王星にも 個以上、火星にも数個、地球にも 個の小惑星が見つかっています。
太陽と地球の L2 は、地球から見て太陽の反対側、 万 km のところにあります。
ここにいると、太陽も地球も月も、いつも同じ側にまとまります。だから 枚の日よけで全部を遮れます。ジェイムズ・ウェッブ望遠鏡が絶対零度に近いところまで冷えていられるのは、このためです。
L2 は不安定な点なので、そこにじっとしているわけではありません。点のまわりを大きく回る軌道に乗せ、 週間に 度ほど噴かして押さえています。
ラグランジュが 体問題を解いていたとき、望遠鏡を置くことは考えていません。 年後にこうなったというだけです。