潮汐は、月が引くから起きるのではありません。月が引く強さが場所によって違うから起きます。
月は地球の近い側を最も強く引き、遠い側を最も弱く引きます。中心はそのあいだです。
地球ぜんたいは、中心にかかる引きに従って落ちています。ですから、中心の引きを基準にして引き算します。すると近い側には月へ向かう分が、遠い側には月と反対へ向かう分が残ります。
残ったのは、両側へ伸ばす力です。だから海のふくらみは、月の側と、その反対側の か所にできます。
ふくらみが つあるということが、そのまま満潮の回数になります。
ふくらみ自体は、月のほうを向いたまま動きません。動くのは地球のほうで、 日かけてその下を回ります。
地上のある場所は、 回転のあいだに 度ふくらみを通り抜けます。だから満潮は 日に 回来ます。
差は距離の 乗に反比例します。太陽は月よりはるかに重いのに、遠いので潮汐は月の半分以下です。 つが並ぶ新月と満月のころ、潮の差がいちばん大きくなります。
ここまでは、ふくらみが月の真下にあるとしてきました。実際は少しずれています。
地球は、月が回るよりずっと速く自転しています。海はその自転に引きずられるので、ふくらみの向きは月の真下より少しだけ先へ出ます。
ずれるのは、海と海底がこすれるからです。こすれがなければ、ふくらみは瞬時に月の真下へ戻ります。こすれるからこそ、戻りきる前に運ばれてしまいます。
ずれは 度ほどです。このわずかなずれが、次の場面のすべてを起こします。
ふくらみは月より先にいます。ふくらみも質量ですから、月を前へ引きます。前へ押された月はエネルギーを得て、外側の軌道へ移ります。
同じ力の反作用が、地球のふくらみを後ろへ引きます。だから地球の自転は遅くなります。地球が失った回転の勢いが、そのまま月の公転へ移っているのです。
月は 年に cm ずつ遠ざかっています。アポロが月面に置いた反射鏡へレーザーを当てて、実際に測られています。
日は 年に ミリ秒ずつ長くなっています。 億年前のサンゴの化石には 年に 本ほどの日輪があり、当時の 日が 時間ほどだったことを示しています。
自転が遅くなり、公転が広がる。この つはいつまでも続くわけではありません。
地球の自転が遅くなって月の公転と同じになったとき、潮汐は止まります。ふくらみが動かなくなるので、こすれるものがなくなるからです。互いに同じ面を向け合った姿で落ち着きます。
月のほうは、もうそうなっています。 周するあいだに 回まわり、地球へいつも同じ面を向けています。軽いほうが先に止まるので、順番としては当然です。
地球と月が両方そうなるのは、 億年ほど先です。その前に太陽が膨らむので、実際には起きません。冥王星とカロンは、もうそこへ着いています。互いに同じ面を向け合って回っている、いまのところ唯一の組み合わせです。