飽和蒸気圧と沸騰〜蒸気圧曲線が決める富士山と圧力鍋の沸点
ふたをした容器に水を入れて置くと、はじめは水面から蒸発して減ります。しばらくすると減りが止まる。
液面から飛び出す分子の数と、水蒸気から液体へ戻る分子の数がつり合ったためです。この状態を気液平衡といいます。
つり合ったときの水蒸気の圧力が飽和蒸気圧。

温度だけで決まる
飽和蒸気圧は温度だけで決まります。容器を押し縮めても、液体が残っているかぎり値は動かない。
押しこんだぶんの水蒸気は液体へ戻ります。気体の量が減るだけで、圧力はもとのまま。
、1.0 L の密閉容器に水 0.010 mol を入れます。すべて気体になったとして、状態方程式で圧力を計算してみる。
の飽和蒸気圧は なので、この値を超えられません[1]。はみ出した分は液体になり、容器の圧力は で止まる。
気体として残る量は状態方程式から で、残りの が液体です。
蒸気圧曲線
温度に対して飽和蒸気圧をとった曲線を蒸気圧曲線といいます。右上がりで、しかも上へ反っている。

同じ温度で比べると、ジエチルエーテルの蒸気圧がいちばん大きい。分子どうしが引き合う力が弱く、液面から飛び出しやすいためです。
分子間力の強い水は、同じ温度でも蒸気圧が小さくなる。
沸騰
蒸発は液面だけで起こり、どの温度でも起きています。液体の内部からも気泡になって気化が始まるのが沸騰。
沸騰が起きるのは、飽和蒸気圧が外の圧力に追いついたときです。内部にできた気泡が、まわりの圧力に押しつぶされずに残れるようになる。
水の飽和蒸気圧が 1 気圧に届くのが で、これが 1 気圧のもとでの沸点です[1]。沸点は液体そのものの性質ではなく、外圧とセットで決まる。
外圧を変えると沸点が動く
富士山の山頂は 3776 m あり、気圧は平地のおよそ 0.62 倍まで下がります。 で蒸気圧曲線と交わるのは あたり。
米に芯が残るのはこのためで、100 度に届く前に湯が沸いてしまいます。
圧力鍋は逆に、ふたを密閉して内側の圧力を 2 気圧ほどまで上げる。 の飽和蒸気圧が なので、沸点は 近くまで上がります。
減圧すれば逆の向きにも動きます。 まで下げれば、 の水が沸く。
密閉容器の中で液体の水と水蒸気がつり合っています。温度を変えずに容器の体積を半分にすると、水蒸気の圧力はどうなりますか。
- 2 倍になる
- 変わらない
- 半分になる
出典
蒸気圧曲線は、その液体が各温度で示す飽和蒸気圧を 1 本の線にしたものです。外圧の横線を引いて交点を読めば、沸点がそのまま分かる。













飽和蒸気圧は温度だけで決まります。押しこんだぶんの水蒸気は液体へ戻り、気体の量が減って圧力はもとのままです。ボイルの法則が使えるのは、液体がなくなって気体だけになったあとです。