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固体の溶解度と溶解度曲線、再結晶で析出する量を計算する

熱い湯に硝酸カリウムを溶けるだけ溶かし、そのまま冷ますと、器の底に細い結晶が並びます。溶けきれなくなった分が固体に戻ったもの。

水 100 g に溶ける限界の質量を、その温度での溶解度といいます。限界まで溶かした溶液が飽和水溶液。

硝酸カリウムの溶解度は で 31.7、 で 109.9 です[1]。塩化ナトリウムは で 35.9、 でも 39.2 しかありません[2]

温度で大きく変わる物質は、冷やすだけで固体を回収できます。塩化ナトリウムのように平らな曲線をもつ物質では、冷やしても回収できない。

この差を使って純度を上げる操作が再結晶です。

冷やしたときの析出量

の硝酸カリウム飽和水溶液 100 g を まで冷やします。溶解度は 110 と 32 で計算する。

では水 100 g と硝酸カリウム 110 g で飽和溶液 210 g になります。飽和溶液 100 g に含まれる量は、この比をそのまま縮めた値。

前が水、後ろが硝酸カリウムで、単位は g です。

冷やしても水の量は変わりません。 の水 47.6 g に溶けていられるのは次の量。

はじめの 52.4 g から引くと、37.2 g が結晶になります。

比を縮める計算をとばして、溶解度の差 110 − 32 をそのまま答えにすると合いません。水が 100 g ではなく 47.6 g しかないためです。

水和水をもつ結晶

硫酸銅(II)を水に溶かして冷やすと、析出するのは無水物ではなく青い五水和物 です。結晶に水が組みこまれ、その分の水が溶液から減ります。

式量 250 のうち が 160、水が 90 を占めます。

無水物としての溶解度は でおよそ 20、 で 75 です[3]。以下は で 40、 で 20 として計算します。

の硫酸銅(II)飽和水溶液 100 g を まで冷やす。

の飽和溶液 140 g に が 40 g だから、100 g では が 28.6 g、水が 71.4 g です。

析出する五水和物を g とおくと、そのうち 、水が 。どちらも溶液から抜けます。

残った溶液が で飽和しているので、次の式が立つ。

五水和物として 25.2 g が析出します。水も一緒に抜けるところを忘れると、分母が 71.4 g のまま残って答えが大きくなる。

塩化ナトリウムを水にとかした飽和水溶液を冷やしても、結晶がほとんど析出しません。理由はどれですか。

  • 塩化ナトリウムがイオン結晶だから
  • 溶解度が温度でほとんど変わらないから
  • 水が凍ってしまうから
__RESULT__

塩化ナトリウムの溶解度は で 35.9、 でも 39.2 です。冷やしても溶けていられる量がほとんど減らないため、余る分が生まれません。海水から食塩をとるときに水を蒸発させるのは、この曲線の形によります。

参考

T. Seilnacht, *Kaliumnitrat*, Naturwissenschaftliches Arbeiten(硝酸カリウムの溶解度)。
*Löslichkeit anorganischer Verbindungen*, Steffen's Wissensblog(塩化ナトリウムほかの溶解度表)。
PubChem, Copper(II) sulfate(CRC Handbook ほかによる無水物の溶解度)。

溶解度曲線は、その温度で溶けていられる限界を示した線です。再結晶の計算は、冷やしても水の量が変わらない、という 1 点で通る。

熱い湯に溶かした硝酸カリウムは、冷ますと器の底で結晶になります。分かれ目は溶解度が温度でどれだけ動くかで、塩化ナトリウムのように平らな曲線をもつ物質は冷やしても回収できない。飽和水溶液 100 g を冷やしたときの析出量の計算、そして硫酸銅(II)五水和物のように結晶が水を含む場合の立式まで。