惑星の軌道は円ではなく楕円です。しかも中心星は楕円の中心にはいません。2 つある焦点の一方にいます。これがケプラーの第 1 法則です。
楕円は、2 つの焦点からの距離の和がどこでも等しくなる曲線でした。図の 2 本を足すと、惑星がどこにいても 2a になります。この a が半長軸で、軌道の大きさを表す量になります。
もう一方の焦点には何もありません。そこに引く相手がいるわけではなく、軌道の形がそう決まっているというだけです。
惑星を目で追うと、動く速さが場所によって変わることに気づきます。中心星に近いところでは速く、遠いところではゆっくりです。等速円運動とはそこが違います。次の場面から、その変わり方を調べます。
中心星と惑星を結ぶ線を引きます。惑星が動くと、この線は扇形の面を掃いていきます。
同じ時間に掃く面積は、軌道のどこにいても等しくなります。これがケプラーの第 2 法則、面積速度一定の法則です。
図の 2 つの塗りは、どちらも同じ時間ぶんに掃いた面です。中心星に近いほうの扇は短くて太く、遠いほうの扇は長くて細い。形はまるで違うのに、面積は等しくなっています。
面積が同じまま形が変わるのですから、変わっているのは進む距離のほうです。近いところでは長い弧を、遠いところでは短い弧を、同じ時間で通っています。近いところほど速い、というのはこのことです。
掃く面積を式にしておきます。短い時間 \Delta t のあいだに惑星が進む距離は v\Delta t で、そのとき掃いた面は、これを底辺とする細い三角形とみなせます。
三角形の面積は \dfrac{1}{2} ×底辺×高さです。底辺が v\Delta t、動径 r と速度のなす角を \theta とすれば高さは r\sin\theta ですから、\Delta S = \dfrac{1}{2}rv\Delta t\sin\theta となります。
時間で割れば面積速度 \dfrac{\Delta S}{\Delta t} = \dfrac{1}{2}rv\sin\theta です。この値が軌道のどこでも同じになる、というのが第 2 法則の式の形です。
r が小さくなれば v が大きくならなければ釣り合いません。速さと距離が反比例の関係で結ばれている、ということが、この 1 本の式に入っています。
実際に使うのは、たいてい近点と遠点です。この 2 か所では動径と速度が直角に交わり、\sin\theta = 1 になるので、面積速度が \dfrac{1}{2}rv という簡単な形になります。
2 か所で等しいと置けば \dfrac{1}{2}r_1v_1 = \dfrac{1}{2}r_2v_2、つまり r_1v_1 = r_2v_2 です。速さの比は距離の逆比になります。
図の 2 本の矢印の長さが、そのまま速さの比です。近点の距離が遠点の半分なら、そこでの速さは 2 倍になります。
この式だけでは、未知数が 2 つあると解けません。もう 1 本、力学的エネルギー保存の式と連立させるのが、入試での定石です。位置エネルギーの取り方は「速ければ二度と戻らない」で扱います。