ケプラーの第 3 法則は、円軌道を考えれば短く導けます。楕円のままでも答えは同じ形になるので、まず円で出します。
惑星を円軌道に保っているのは万有引力です。中心を向く力はこれしかありませんから、これがそのまま向心力になります。向心力は mr\omega^2 と書けたので、G\dfrac{Mm}{r^2} = mr\omega^2 と置けます。
「万有引力=向心力」と書けるのは、ほかに中心を向く力がないからです。向心力という別の力を足したのではありません。万有引力がその役をしている、というだけです。
この 1 本を整理すれば、あとは計算だけです。両辺を m で割り、r^2 を掛けると \omega^2 = \dfrac{GM}{r^3} になります。
いま両辺から m が消えました。ここが大事なところです。
同じ半径の軌道なら、重い惑星も軽い惑星も同じ角速度で回る、ということです。図の 2 つは重さが違うのに、同じ軌道を同じ歩調で回っています。物の落ち方が重さによらないのと同じ理由で、引かれる力も動きにくさも、どちらも同じ m に比例するので差し引きで消えます。
\omega を周期に直します。\omega = \dfrac{2\pi}{T} を入れて整理すると T^2 = \dfrac{4\pi^2}{GM}r^3 です。周期の 2 乗が軌道の半径の 3 乗に比例します。
右辺に残ったのは G と中心星の質量 M、それに軌道の大きさだけです。回っている側の情報はどこにもありません。人工衛星が何トンでも、同じ高さなら同じ周期で回ります。
円で出した式は、楕円でもそのまま成り立ちます。半径 r を半長軸 a に置き換えるだけで、T^2 = \dfrac{4\pi^2}{GM}a^3 となります。これがケプラーの第 3 法則です。
横軸に a^3、縦軸に T^2 を取れば、同じ中心星をまわる天体の点は 1 本の直線に並びます。図の点が内側ほど原点の近くに集まっているのは、a が 3 乗で効くからです。少し外へ行くだけで a^3 が跳ね上がります。
直線の傾きは \dfrac{4\pi^2}{GM} で、惑星のことは何も入っていません。中心星の質量だけで決まります。だから太陽系の惑星はすべて同じ直線に乗り、木星の衛星どうしはまた別の直線に乗ります。
これを逆に読むと、天体の重さを測る道具になります。a と T は望遠鏡で測れる量ですから、M = \dfrac{4\pi^2a^3}{GT^2} に入れれば中心星の質量が出ます。触れない天体の質量が分かるのは、この式のおかげです。
第 3 法則は、周期を決めれば軌道の大きさが決まる、という向きにも読めます。その例が静止衛星です。
地上から見て止まって見えるには、地球の自転と同じ周期で、同じ向きに、赤道の上を回ればよいことになります。周期が決まってしまうので、T^2 = \dfrac{4\pi^2}{GM}r^3 を r について解けば、回る高さが 1 つに決まります。
図では地表の目印と衛星が、いつも一直線に並んだまま回っています。地上から見上げると、衛星は空の一点に貼り付いて見えます。
高さを好きに選べるわけではない、というのがこの問題の勘どころです。低く飛ばせば周期が短くなって西へ流れ、高く上げれば周期が長くなって東へ遅れます。この周期なら、この高さしかありません。