講義1 では、円を回る点の影が単振動の位置になることを見ました。同じ点は速度も持っています。等速円運動の速度は円の接線を向いていて、大きさは A\omega のまま変わりません。
この速度のベクトルにも、真上から光を当ててみます。下に落ちた影が、そのままおもりの速度です。v = -A\omega\sin(\omega t + \varphi) となります。
端では接線が真上か真下を向くので、影の長さは 0 です。中心では接線が水平になるので、影がいちばん長くなります。おもりは端で止まり、中心でいちばん速い。円の絵がそのまま言っています。
加速度も同じです。等速円運動の加速度はいつも円の中心を向いていて、大きさは A\omega^2 です。
その影を落とすと a = -A\omega^2\cos(\omega t + \varphi) になります。位置が x = A\cos(\omega t + \varphi) でしたから、これは a = -\omega^2 x と書いても同じことです。講義1 で立てた運動方程式に、そのまま戻ってきました。
向きにも目を向けてください。中心を向くベクトルの影は、いつも原点 O の側を向きます。復元力の矢印と同じ向きです。F = ma ですから、そうなるほかありません。
位置・速度・加速度を、同じ時間軸のうえに縦に並べます。
速度は位置より \dfrac{1}{4} 周期だけ先を行きます。位置が端にあるとき速度は 0、位置が中心にあるとき速度が最大です。加速度は位置とちょうど逆を向いていて、\dfrac{1}{2} 周期ずれています。
x を時間で微分すれば v、v を微分すれば a です。円の影から考えても、微分しても、出てくる式は同じになります。
同じおもりに、速度と加速度の矢印を両方つけてみます。片方が伸びると、もう片方が縮みます。
端(x = \pm A)では速度が 0 です。しかし加速度は A\omega^2 で最大、力も最大です。一瞬止まって見えますが、いちばん強く引き戻されている場所です。
中心(x = 0)では逆になります。加速度も力も 0 ですが、速さは A\omega で最大です。力がはたらいていないのに、いちばん速い。ここを取り違える人がとても多いところです。速さを決めるのは、それまでに受けてきた力の積み重ねであって、その瞬間の力ではありません。