調和振動子 - 準位が等間隔になり、プランクの仮定が式のほうから出てくる

ばねの位置のエネルギーは放物線

ばねにつないだ粒は、つり合いの点から離れるほど強く引き戻されます。引く力が距離に比例するので、位置のエネルギーは U = \dfrac{1}{2}kx^2 という放物線になります。

井戸型ポテンシャルの壁は垂直に立っていましたが、こちらの壁は滑らかに立ち上がります。外へ行くほど高くなるので、どこまで行けるかはエネルギーで決まります。

古典では、E を決めると振れ幅が決まり、その中を行ったり来たりします。E はいくらでも小さくでき、0 にすれば粒はつり合いの点で止まります。ここまでは何もとびとびではありません。

放物線の中で方程式を解く

シュレーディンガー方程式を、この放物線について解きます。前の記事で見たとおり、曲がる向きを決めるのは E と U の大小です。

E > U の内側では波動関数は振動し、E < U の外側では振動せずに減っていきます。境目は E と放物線が交わるところで、古典なら折り返す点です。

ほとんどの E では、外側で減らずに発散してしまい、遠くで意味を持ちません。発散しない解だけを選ぶと、E がとびとびの値に絞られます。井戸では両端を節にせよという条件でしたが、こちらは遠くで 0 になれという条件です。

準位が等間隔になる

残った E を並べると E_n = \left(n + \dfrac{1}{2}\right)h\nu になります。n は 0 から数え、\nu = \dfrac{1}{2\pi}\sqrt{k/m} は古典のばねの振動数そのものです。

井戸型ポテンシャルでは E_n が n^2 に比例したので、上へ行くほど間隔が開きました。こちらは開きません。隣り合う準位の差はどこでも h\nu で、準位は同じ間隔で並びます。

違いは壁の形から来ます。井戸は幅が変わらないので、上の準位ほど短い波長を詰めることになりました。放物線は上へ行くほど幅が広がるので、短い波長を詰めることと幅が広がることが釣り合い、準位の間隔がそろいます。

いちばん低い状態にもエネルギーが残る

n = 0 でも E_0 = \dfrac{1}{2}h\nu が残ります。いちばん低い状態でも 0 にはなりません。これをゼロ点エネルギーといいます。

止まっていられない理由は、井戸で見たものと同じです。つり合いの点でぴたりと止まるということは、位置も運動量も同時に決まるということで、不確定性原理がそれを許しません。

いちばん低い状態の波動関数は、つり合いの点を中心とした 1 つの山です。節はなく、古典の折り返し点の外側へも少し染み出しています。

プランクが手で置いたものが、ここから出てくる

黒体放射は、振動の持てるエネルギーを h\nu の整数倍に限ると曲線が測定と重なる、というところから始まりました。プランクはそれを仮定として手で置きました。

いま解いたのは、まさにその振動です。準位は h\nu ずつ並び、やり取りできるのは h\nu を単位とした量です。仮定として置いたものが、方程式のほうから出てきました。

違いは \dfrac{1}{2}h\nu だけです。プランクは E = nh\nu と書き、解は E_n = \left(n + \dfrac{1}{2}\right)h\nu でした。この \dfrac{1}{2}h\nu はどの準位にも同じだけ足されているので、やり取りされる量には現れず、黒体放射の曲線は変わりません。

光の粒子性
物質の波動性
原子のエネルギー準位
シュレーディンガー方程式
角運動量と水素原子
スピンと周期表
分子と固体
量子もつれ