調和振動子の統計力学

調和振動子は統計力学における最も重要な模型の一つです。固体の格子振動、電磁場の量子化、分子の振動モードなど、多くの物理系が調和振動子の集まりとして記述できます。古典版と量子版の両方を理解することが大切です。

古典調和振動子

1次元調和振動子のハミルトニアンは

です。古典的な分配関数は

運動量とポテンシャルの積分は独立に実行でき

平均エネルギーは

等分配則から予想される通り、2つの2次形式自由度でちょうど です。

量子調和振動子

量子力学では、調和振動子のエネルギー準位は離散的になります。

分配関数は

等比級数の和を実行して

分配関数

自由エネルギー

平均エネルギーと比熱

平均エネルギーは

第1項はゼロ点エネルギー、第2項が熱的励起のエネルギーです。第2項はボース分布の形をしています。

比熱は

この関数はアインシュタイン関数と呼ばれます。

高温・低温の極限

温度による振る舞いを見てみましょう。

高温極限

。古典的な等分配則を回復。

低温極限

。ゼロ点エネルギーのみで凍結。

特性温度 を定義すると、 で量子効果が重要になります。

:量子領域、比熱は指数関数的に減少

:古典と量子の中間領域

:古典領域、等分配則が成立

固体比熱への応用:アインシュタイン模型

アインシュタインは、固体中の 個の原子がすべて同じ振動数 で独立に振動すると仮定しました。3次元なので 個の振動子があり

高温では (デュロン-プティの法則)、低温では指数関数的にゼロに近づきます。

アインシュタイン模型は低温での振る舞いを定性的に説明しましたが、実験では なのに対し、模型は指数関数的減少を予測します。この不一致は、デバイ模型で振動数の分布を考慮することで解消されました。

調和振動子の統計力学は、固体物理学、量子光学、場の量子論など、現代物理学の広い分野で基礎となる重要なトピックです。