熱力学の計算問題|状態方程式・第一法則・熱効率・潜熱
熱力学の問題は、どの量が止まっているかを見つけるところから始まります。止まった量が決まれば、使う式もほぼ決まる。
問題は状態方程式から気体分子運動論まで順に並べてあります。後半には図から値を読みとる問題も置きました。
使う定数は次のとおりとします。
| 気体定数 | |
| 水の比熱 | |
| 氷の比熱 | |
| 氷の融解熱 | |
| アボガドロ定数 |
問題 1:物質量を求める
、 で体積 の理想気体があります。物質量を求めなさい。
解答 1
体積を に、温度を に直します。
のまま代入すると 倍ずれる。 が の単位を持つ以上、体積は でそろえます。
問題 2:3 つの量が同時に変わる
、 で の気体があります。
これを 、 にしたときの体積を求めなさい。
解答 2
物質量が変わらないので、ボイル・シャルルの法則が使えます。
比の式なので、体積は のままで差し支えありません。左右で単位がそろっていればよい。
圧力が 倍、温度が 倍なので、合わせて 2 倍になっています。
問題 3:分子の数を求める
問題 1 の気体に含まれる分子の数を求めなさい。
解答 3
物質量にアボガドロ定数を掛けます。
でも の桁になる。1 個ずつ数える話ではないと分かります。
問題 4:水を温める熱
の水 を まで温めます。要る熱を求めなさい。
解答 4
温度差は です。
は差なので、 で測っても で測っても同じ値になる。ここは直さなくてよい。
問題 5:湯と水を混ぜる
の湯 と の水 を混ぜます。熱が外へ逃げないとして、落ち着く温度を求めなさい。
解答 5
湯が失った熱と水が得た熱を等しく置きます。どちらも水なので比熱は消える。
真ん中の ではありません。量の多い水のほうへ引っぱられる。
問題 6:容器の熱容量を含める
熱容量 の容器に、 の水 が入っています。ここへ の湯 を注いだときの温度を求めなさい。
解答 6
容器は水と同じ から温まるので、低温側にまとめます。
容器の熱容量に質量を掛けてはいけません。 はすでに容器全体の値です。
容器を無視して解くと になる。容器が熱を分けとったぶん、実際は低くなります。
問題 7:氷を溶かして温める
の氷 を、 の水にするまでの熱を求めなさい。
解答 7
溶かす段と温める段に分けます。
溶かすほうが大きい。 から まで温めるより、 のまま溶かすほうが熱を食います。
問題 8:加熱曲線から融解熱を読む
氷 を から一定の割合で加熱したところ、次のグラフになりました。融解熱を求めなさい。

解答 8
平らな区間が融解にあたります。 から までなので、融解に使われた熱は差になる。
はじめの は氷を から まで温めた分です。検算すると で合っています。
問題 9:必要な氷の量
の水 に の氷を入れて、 にしたい。要る氷の質量を求めなさい。
解答 9
水が失う熱を先に出します。
氷は溶けたあと まで温まるので、2 段ぶんを受けとる。
溶けたあとの水が温まるぶんを忘れると、 という違う答えが出ます。
問題 10:体積を止めて加熱する
単原子分子の理想気体 を、体積を止めたまま 上げます。、、 を求めなさい。
解答 10
ふたが動かないので仕事はゼロです。
加えた熱がまるごと内部エネルギーになる。
問題 11:圧力を止めて加熱する
同じ気体を、今度は圧力を止めて 上げます。、、 を求めなさい。
解答 11
内部エネルギーは温度だけで決まるので、問題 10 と同じ値です。
仕事は から出ます。
同じ温度上昇なのに、定圧では熱が 多く要りました。そのぶんが仕事に回っている。
問題 12:温度を止める
理想気体を等温のまま膨張させ、 の熱を与えました。 と を求めなさい。
解答 12
温度が変わらないので内部エネルギーは動きません。
受けとった熱がそのまま仕事として出ていく。等温変化では熱が入り続けても温度が上がりません。
問題 13:断熱で圧縮する
単原子分子の理想気体 を、熱を通さない容器で圧縮し、外から の仕事を加えました。温度変化を求めなさい。
解答 13
気体がした仕事は 、熱の出入りはゼロです。
熱を一切与えていないのに 上がりました。仕事がそのまま内部エネルギーに変わっている。
問題 14:サイクルの仕事
理想気体を次の図のように 1 周させます。1 周での正味の仕事と、正味の熱を求めなさい。

解答 14
辺ごとに仕事を出します。定積の 2 辺はどちらもゼロです。
長方形の面積として一度に出すこともできる。縦が 、横が です。
1 周して元の状態に戻るので になります。したがって正味の熱も 。
膨張の辺で 積み上がり、圧縮の辺で 戻されます。差の が囲む面積にあたる。
問題 15:熱効率
熱機関が高温の熱源から を受けとり、低温側へ を捨てました。熱効率を求めなさい。
解答 15
仕事は差です。
熱効率は になります。 は捨てるほかない。
問題 16:効率の上限
問題 15 の機関が と の熱源のあいだで働いているとします。効率の上限を求め、問題 15 の結果と比べなさい。
解答 16
カルノー効率を計算します。
上限は です。問題 15 の はこれを下回っているので、矛盾しません。
もし という報告があれば、計算を見る前に退けられる。セルシウス温度を入れると となり、まったく違う値が出ます。
問題 17:分子の速さ
の酸素の二乗平均速度を求めなさい。酸素分子のモル質量を とします。
解答 17
モル質量を に直します。
秒速 ほどで、音速の より速い。 のまま入れると 倍ずれます。
問題 18:断熱圧縮の温度
の二原子分子の理想気体を、体積が 分の になるまで断熱圧縮します。 として、圧縮後の温度を求めなさい。
解答 18
温度と体積の式を使います。
近く上がりました。指数が ではなく である点に気をつけます。
つまずきやすいところ
計算そのものより、単位と条件の読み落としで間違えることが多い。
を掛ける式では にそろえます。比の式なら のままでよい。
が単独で出る式は絶対温度です。 だけの式なら でも同じ値になる。
の値なので質量を掛けません。低温側にそのまま足します。
氷の問題では で終わらせず、できた水が温まるぶんを続けます。










