次の文章を読んで,[ ]に適した式または数値を,それぞれの解答欄に記入せよ。なお,二重の枠はすでに同じ記号の枠で与えられたものと同じものを表す。また,問 1,問 2 では,指示にしたがって,解答をそれぞれの解答欄に記入せよ。ただし,円周率は とする。
(1) 図 1 のように点 を中心とする質量 の地球のまわりを,地球より十分小さい質量 の宇宙船 が楕円軌道でまわっている。宇宙船 から点 に向かう方向の速さを ,それと垂直な方向の速さを ,宇宙船 と点 間の距離を とし,宇宙船 には点 に向かう方向の万有引力のみがはたらくものとする。このとき,宇宙船 の運動エネルギーは ,, で表すと [ア] であり,さらに,位置エネルギーは無限遠方を として万有引力定数 および ,, で表すと [イ] である。宇宙船 の力学的エネルギーを負の一定値 とすると と表すことができる。ここで,ケプラーの第 2 法則(面積速度一定の法則)が成り立つことから面積速度を一定の値 として, を含む項をまとめた関数 を ,,,, を用いて表すと [ウ] である。宇宙船 が楕円軌道を運動する間, は を最小値とする有限の範囲を変化する。したがって, となる の範囲が,宇宙船 と点 間の距離が変化する範囲を表す。
問 1 関数 の概形はどのようになるか。 を横軸, を縦軸として特に と のときの振る舞いがわかるようにグラフに描け。このとき,地球を大きさが無視できる質量 の質点とみなせ。また,横軸,縦軸に 以外の値を記入する必要はない。
(2) 図 2 のように,宇宙船 の軌道が半径 の円軌道とみなせる場合を考える。この は以下で常に一定値をとり,したがって,(1)の と異なることに注意せよ。このとき,宇宙船 の速さを ,軌道を一周する周期を とする。周期 を ,, で表すと [エ] である。
次に,宇宙船 に,点 に向かう方向(半径方向)に十分弱い力が外部から瞬間的に加わった場合を考える。すると,宇宙船 は元の円軌道とはわずかに異なる軌道をたどり始める。この後の運動を以下のように考察しよう。宇宙船 の半径方向の位置が内向きを正として だけ内側にずれた点,すなわち点 から距離 の点での,半径方向に垂直な方向の速さを とし, と はそれぞれ と に比べ常に十分に小さいとする。瞬間的な外力により宇宙船 の運動エネルギーはわずかに増加するが,半径方向の力であるためケプラーの第 2 法則はこの間,常に成立する。これより, に比例する項を無視すると,,, を用いて [オ] と表せる。
位置が元の円軌道の半径 から だけ内側にずれたことで,宇宙船 にはたらく力がどのように変化するか求めよう。以下では,, が より十分小さいときに成り立つ近似式 , (, は実数)を用いよ。まず,万有引力の大きさの増分を に比例する形で ,,, を用いて表すと 万有引力の大きさの増分 [カ] である。一方,遠心力は半径 ,速さ の円運動と同様に考えることができる。これより,遠心力の大きさの増分を に比例する形で ,, を用いて表すと 遠心力の大きさの増分 [キ] である。以上より,内向きを正とする合力の増分が に比例する形で ,,, を用いて 万有引力の大きさの増分遠心力の大きさの増分 [ク] と求まる。したがって,この力は宇宙船 の半径方向の位置のずれを元に戻す復元力としてはたらく。この力が引き起こす加速度を内向きを正として と定義すると,半径方向の運動方程式は [ク] となる。以上の議論は が負,つまり宇宙船 の位置が半径 から外側にずれた場合にも成立する。よって,上記の運動方程式から宇宙船 は半径方向の微小変位 について単振動することがわかる。この微小な振動運動の周期を とすると,宇宙船 が軌道を一周する周期 との比 は [ケ] である。この運動は元の円運動とは異なるものの,宇宙船 がその後も継続して地球を周回し続けることは変わらない。
(3) 質量 の宇宙船 が質量 の天体 のまわりを運動する場合を考える。 は より十分小さいとする。宇宙船 には天体 からの引力のみがはたらくが,その力の大きさはニュートンの万有引力の法則を含む一般的な形で,天体 から宇宙船 にはたらく引力の大きさ と表せるとする。ここで, は天体 の中心から宇宙船 までの距離, と は正の定数であり,, ならばニュートンの万有引力の法則に相当する。なお以下では,天体 からの引力以外の物理法則,すなわち遠心力を表す式とケプラーの第 2 法則は変わらず成り立つものとする。
いま,任意の の場合に対して,この引力を向心力とする,天体 の中心を周回する半径 の円運動を考えることができる。このときの半径方向に垂直な方向の速さを ,, で表すと [コ] である。ここで,宇宙船 に,天体 の中心に向かう方向に十分弱い力が外部から瞬間的に加わった場合を考察しよう。
(2)と同様に,宇宙船 の軌道がわずかに内向きに変化したとする。宇宙船 の軌道のずれが内向きを正として の場合,合力の増分を(2)と同様の方法で考えることができる。引力の大きさを表す式が となったことに注意し,その増分を に比例する形で ,,, を用いて表すと 引力の大きさの増分 [サ] である。内向きを正とする合力の増分も に比例する形で ,,, を用いて 引力の大きさの増分遠心力の大きさの増分 [シ] と求まる。以上の議論は が負,つまり宇宙船 の位置が半径 から外側にずれた場合にも成立する。
これより,宇宙船 の運動は の値に応じて異なることが以下のようにわかる。まず,(2)で考えたような半径方向の微小振動を伴う運動となるのは [ス] の場合のみである。また,この場合,微小な振動の周期 と軌道を一周する周期 の比 は のみの関数として [セ] と表せる。
問 2 [ス] の場合,軌道が内側に だけずれたときに合力の増分のはたらく向きはどちら向きで,大きさは とともにどのように変わるか, が正の場合について答えよ。また,その結果,宇宙船 の運動はどのようになるか述べよ。
速度は へ向かう成分 と、それに垂直な成分 に分かれるので、運動エネルギーは [ア] です。無限遠を基準にした位置エネルギーは [イ]。
面積速度 が一定なので、 と書けます。 は になり、 だけの式に変わる。
これを位置エネルギーとまとめて、[ウ] です。力学的エネルギーは、 だけの項 と、 だけの項 の和になります。
では の項がまさり、 は正の側で限りなく大きくなります。 では の項が残り、負の側から に近づく。
あいだでは で を横切り、 で最小値 をとります。問 1 のグラフは、正の無限大から下りて を横切り、谷を作ってから下から に近づく形です。
は負の一定値なので、水平な線 と は谷の両側で 2 回交わります。 から で、宇宙船はその 2 つの交点のあいだの距離を行き来する。
半径 の円運動では、万有引力が向心力になります。 から です。
周期は円周を速さで割った で、 を入れると [エ] となる。
外から加わった力は半径方向なので、 のまわりの面積速度は変わりません。ずれる前と後で です。
右辺のかっこを開くと で、最後の項を無視すると 。[オ] です。
内側へずれると横向きの速さは増えます。距離が短くなったぶん、同じ面積速度を保つには速く回る必要があるからです。
万有引力は です。近似式で となり、増分の係数 [カ] は 。
遠心力は です。オから なので、近似すると となり、[キ] は です。
を入れるとキは になり、差は です。[ク] で、内側へずれると遠心力のほうが大きく増え、外へ押し戻す力が残る。
運動方程式 から、角振動数は です。振動の周期は で、エの とそろう。
[ケ]は です。1 周するあいだに半径がちょうど 1 回伸び縮みするので、軌道は閉じて、同じ形をくり返します。
図では、ずれを大きめにとっています。点線の円からいちばん内側へずれる場所は、何周しても同じところに来る。
円運動の式 から、[コ] です。
引力は で、[サ] となる。
遠心力の増分は (2) と同じく です。 を入れると で、差をとって [シ] です。
シが正なら、合力の増分がずれと逆向きになり、半径方向に単振動します。その条件は で、[ス]は です。
振動の角振動数は です。一周の周期は で、コを入れると になる。
比は [セ] です。 では になって (2) と一致し、それ以外では 1 周のあいだの振動の回数が からずれるため、軌道は閉じずに向きを変えながら回ります。
では なので、合力の増分は内向きを正として です。 のとき、合力の増分は天体 の中心へ向かい、大きさは に比例して大きくなる。
ずれを戻す向きではなく広げる向きなので、 はさらに大きくなり、そのぶん内向きの力も強まります。宇宙船は円軌道に戻れず、らせんを描きながら天体 へ落ちこんでいく。これが問 2 の答えです。
外側へずれたとき()は、外向きの力が増して天体から遠ざかっていきます。 の円軌道は、どちらへずれても保てません。