力の合成と分解:ベクトルで考える力のつり合い

力は大きさと向きの両方を持つベクトル量です。複数の力が同時にはたらくとき、それらを合わせた「合力」を求めたり、一つの力を方向ごとに「分解」したりする操作が必要になります。

力の合成

同じ物体にはたらく 2 つの力 がある場合、その合力 はベクトルの足し算で求まります。

同じ方向にはたらく場合は単純に足すだけですが、異なる方向の場合は平行四辺形の法則を使います。2 つの力ベクトルを隣り合う 2 辺とする平行四辺形を描き、その対角線が合力になります。

同じ向きの 2 力

(単純な足し算)

反対向きの 2 力

(差の絶対値)

2 力のなす角が のとき、合力の大きさは次の式で求まります。

のとき なので、ピタゴラスの定理と一致して となります。

力の分解

合成の逆の操作が「分解」です。一つの力を、互いに直交する 2 方向の成分に分けます。たとえば斜面上の物体にはたらく重力を、斜面に沿った方向と斜面に垂直な方向に分解する場面はとても多く出てきます。

斜面の角度を とすると、重力 は次のように分解されます。

斜面方向の成分
垂直方向の成分

この分解ができると、斜面上の物体の加速度や垂直抗力がすぐに求まります。斜面方向の運動方程式は (摩擦なしの場合)となり、加速度 が得られるのです。

力のつり合い

物体が静止している、または等速直線運動をしている場合、はたらいている力の合力はゼロです。この状態を「力がつり合っている」といいます。

2 力のつり合い

2 力が同一直線上にあり、大きさが等しく、向きが反対であればつり合います。天井から吊るした物体にはたらく重力と糸の張力がこの例です。

3 力のつり合い

3 力がつり合う条件は、どの 2 力の合力も残りの 1 力と大きさが等しく反対向きであることです。斜面上で静止している物体には重力・垂直抗力・摩擦力の 3 力がはたらいています。

つり合いの式を立てる

力のつり合いの問題では、座標軸を設定して各方向の力の成分の和をゼロとおきます。

水平方向:

鉛直方向:

この 2 つの式を連立させて未知の力を求めるのが基本的な解き方です。座標軸のとり方は自由ですが、未知数が少なくなるように設定するのがコツで、たとえば斜面の問題では斜面に沿った方向と垂直な方向を軸にとると計算がシンプルになります。