等速円運動と向心力の公式

糸の先に石をつけてぐるぐる回すとき、石は円を描いて動きます。速さが一定のまま円軌道上を運動する状態が「等速円運動」です。速さは変わらないのに加速度がある、というのが特徴的な運動です。

速度と加速度

等速円運動では速さ(速度の大きさ)は一定ですが、向きが絶えず変化しています。速度はベクトル量なので、向きが変わる以上、加速度が生じています。この加速度は常に円の中心を向いており、「向心加速度」と呼ばれます。

は速さ、 は円の半径、 は角速度です。角速度は物体が単位時間あたりに回転する角度で、 は周期)の関係があります。

周期 1 回転にかかる時間(s)
角速度 (rad/s)
速さ (m/s)
向心加速度 (m/s²)

向心力

向心加速度を生み出しているのが「向心力」です。ニュートンの運動方程式 に向心加速度を代入すると、向心力の大きさが得られます。

向心力は特定の種類の力ではなく、円運動を引き起こしている力の名前です。糸の張力、重力、摩擦力、静電気力など、場面によって異なる力が向心力の役割を果たします。

糸につけた石

糸の張力が向心力になります。糸が切れると石は接線方向にまっすぐ飛んでいきます。

カーブを曲がる車

タイヤと路面の間の摩擦力が向心力です。凍結路面でスリップするのは、摩擦力が不足して向心力が得られなくなるためです。

地球の公転

太陽からの万有引力が向心力として地球を円(楕円)軌道上に保っています。

「遠心力」について

回転する洗濯機の中で衣類が外側に押しつけられるような感覚を「遠心力」と呼ぶことがあります。しかし、遠心力は慣性系の観測者からは存在しない「見かけの力」です。

回転する座標系に乗っている観測者にとっては、物体が外向きに引っ張られているように見えるため、計算上の便宜として遠心力を導入します。回転座標系での遠心力の大きさは で、向心力と同じ大きさで反対向きになります。

洗濯機の脱水は、この原理を利用したものです。回転するドラムの中で水は外向きに移動しようとし、遠心脱水が実現します。

衣類を高速回転させ、水分を外側に飛ばして排出する仕組み。家庭用洗濯機では毎分 800〜1200 回転程度。

等速円運動は惑星の軌道から遊園地のメリーゴーラウンドまで、身近なところで多く見られる運動です。向心力と向心加速度の関係を押さえておけば、さまざまな回転運動の問題に対応できるようになります。