万有引力の法則と重力加速度の導出
リンゴが木から落ちるのを見てニュートンが万有引力を思いついた、という逸話は有名です。実際にそのとおりだったかは定かではありませんが、ニュートンが導いた万有引力の法則は、地上の物体の落下から惑星の運動まで統一的に説明する画期的なものでした。
万有引力の法則
質量 と の 2 つの物体の間には、距離 に応じて次の引力がはたらきます。
は万有引力定数で、 N·m²/kg² という非常に小さな値です。この法則のポイントは「すべての質量を持つ物体の間に引力がはたらく」ということで、だからこそ「万有」と呼ばれます。
引力は距離の二乗に反比例します。距離が 2 倍になれば力は 1/4 に、3 倍になれば 1/9 になります。
両方の物体の質量が大きいほど引力も大きくなります。地球と太陽の間に巨大な引力がはたらくのはこのためです。
日常のスケールでは万有引力はあまりに小さく、2 人の人間の間にはたらく引力は N 程度にすぎません。万有引力が目に見える効果を持つのは、地球のように質量がきわめて大きい物体が関わる場合です。
重力加速度の導出
地球の表面にある質量 の物体にはたらく万有引力は、そのまま「重力」です。地球の質量を 、地球の半径を とすると、
両辺を で割ると、重力加速度 が得られます。
| (万有引力定数) | N·m²/kg² |
| (地球の質量) | kg |
| (地球の半径) | m |
| (計算結果) | m/s² |
実測値の 9.8 m/s² とよく一致します。わずかなずれは地球の自転による遠心力や、地球が完全な球ではないことなどに起因しています。
高度による重力の変化
地表からの高さ における重力加速度は、地球の中心からの距離が になるため、
と変化します。国際宇宙ステーション(ISS)は高度約 400 km を周回していますが、そこでの重力加速度は地上の約 89% にあたる m/s² 程度です。宇宙飛行士が「無重力」に見えるのは重力がないからではなく、ISS ごと自由落下しているためです。
このように、地球の重力圏内では重力が完全にゼロになることはありません。宇宙飛行士が浮かんでいるのは、ISS とともに地球のまわりを自由落下しているからであり、正確には微小重力状態と呼ばれます。
完全な無重力ではなく、ごくわずかな重力が残っている状態。ISS 内でも約 程度の微小な重力が存在する。
万有引力の法則は、地上の重力も天体の運動も同じひとつの原理で説明できるという点で、物理学における統一理論の先駆けでした。