ケプラーの法則と惑星の運動

惑星はどのように太陽のまわりを回っているのか。この問いに対して、17 世紀のヨハネス・ケプラーが膨大な観測データから導き出した 3 つの法則が「ケプラーの法則」です。

第一法則:楕円軌道の法則

惑星は太陽を焦点のひとつとする楕円軌道を描きます。円は楕円の特殊な場合なので、「惑星の軌道は円」という古代からの考えを一般化したものです。

実際には多くの惑星の軌道は円にかなり近い楕円ですが、完全な円ではありません。地球の軌道の離心率は約 0.017 で、ほぼ円に見えます。一方、冥王星の離心率は約 0.25 で、かなりつぶれた楕円です。

第二法則:面積速度一定の法則

惑星と太陽を結ぶ線分が、等しい時間に等しい面積を掃く、という法則です。これは惑星が太陽に近いときは速く動き、遠いときは遅く動くことを意味しています。

太陽に近い位置(近日点)

惑星は速く動く。掃く扇形は幅が狭いが奥行きがある

太陽から遠い位置(遠日点)

惑星は遅く動く。掃く扇形は幅広いが奥行きが浅い

地球の場合、近日点(1 月初旬)での公転速度は約 30.3 km/s、遠日点(7 月初旬)では約 29.3 km/s で、約 1 km/s の差があります。

第三法則:調和の法則

惑星の公転周期 の二乗は、軌道の半長軸 の三乗に比例します。

比例定数 はどの惑星でも同じ値をとります。この法則により、ひとつの惑星の軌道データから別の惑星の公転周期を予測できるのです。

惑星公転周期(年)半長軸(AU)
水星0.240.39
金星0.620.72
地球1.001.00
火星1.881.52

地球を基準にとると (年² / AU³)なので、火星の場合 の平方根をとると 年となり、実際の値とよく合います。

ニュートン力学による説明

ケプラーの法則は経験則でしたが、ニュートンは万有引力の法則からこれらを理論的に導出しました。

第一法則の導出

万有引力(逆二乗の法則)のもとでの運動方程式を解くと、軌道は円錐曲線(楕円・放物線・双曲線)になります。束縛された軌道は楕円です。

第二法則の導出

中心力(力が常に一点を向く)のもとでは角運動量が保存されます。面積速度は角運動量に比例するため、自動的に一定になります。

第三法則については、等速円運動の近似で簡単に導けます。向心力と万有引力を等しいとおくと、

整理すると が得られ、 というケプラーの第三法則と一致します。比例定数 は中心天体の質量のみで決まるため、太陽系のすべての惑星で同じ値になるわけです。

ケプラーの法則は太陽系の惑星だけでなく、人工衛星の軌道設計や系外惑星の発見にも活用されています。観測から法則を見出し、それが理論によって裏付けられるという科学の営みを象徴する美しい成果です。