斜方投射の軌道と到達距離の求め方

ボールを斜め上方に投げると、放物線を描いて飛んでいきます。この運動が「斜方投射」です。水平方向と鉛直方向の運動を別々に考えるのが解法のポイントになります。

運動の分解

斜方投射では、空気抵抗を無視すると、水平方向には力がはたらかず等速直線運動、鉛直方向には重力のみがはたらいて等加速度運動になります。初速度 、投射角 のとき、各方向の初速度は次のように分解されます。

水平方向の初速度
鉛直方向の初速度

時刻 における位置は、それぞれ独立に計算できます。

この 2 つの式から を消去すると、軌道の式が得られます。

これは の二次関数であり、軌道が放物線であることを数学的に示しています。

最高点と滞空時間

ボールが最高点に達するのは、鉛直方向の速度がゼロになる瞬間です。

最高点の高さ はこの時刻を代入して求まります。

滞空時間は上昇時間の 2 倍なので です。対称性のある放物線運動では、上昇と下降にかかる時間が等しくなります。

到達距離(飛距離)

水平到達距離 は、滞空時間に水平速度を掛けたものです。

ここで が使われている点に注目してください。 が最大になるのは 、すなわち のときです。

投射角 45°

飛距離が最大になる。 なので

投射角 30° と 60°

なので飛距離は等しい。ただし軌道の形状は異なる

投射角 30° と 60° のように、 の組み合わせは同じ飛距離を与えます。30° のほうが低い弾道で速く到達し、60° のほうが高い弾道で時間がかかるという違いがあります。

計算例

初速度 20 m/s、投射角 30° で投げた場合( m/s²)を考えてみましょう。

水平初速度 m/s
鉛直初速度 m/s
最高点の高さ m
滞空時間 s
到達距離 m

実際の場面では空気抵抗があるため、飛距離は計算値よりも短くなります。空気抵抗の影響は速度の二乗に比例して大きくなるため、野球のピッチングやゴルフのショットでは回転(スピン)による揚力なども加わり、単純な放物線からは大きくずれた軌道を描きます。