「統計学キャンパスゼミ」はマセマという出版社から出ている数学の参考書です。キャンパスゼミシリーズは主に大学生を対象にしていますが、確率と統計、微分積分をある程度理解している高校生も対象になります。高校の範囲をはるかに超える内容ですが、本格的な数学を初めて勉強するという人もすぐに理解できるように、統計を一から懇切丁寧に説明しています。
項目 | 評価 |
---|---|
使いやすさ | ★★★★ |
詳しさ | ★★★★★ |
おすすめ | ★★★★ |
レベル | 初級~中級(超上級) |
対象 | 大学生(高校3年生~) |
※レベルは大学生を基準にすると初級から中級、高校3年生を基準にすると超上級。
これ以上わかりやすい(数学的な)統計の本はないかもしれない
書店に行くと統計の本はずらっと並んでいますが、確率分布、モーメント母関数、正規分布、ポアソン分布などを数学的にわかりやすく説明した本は意外と少ない。
多くの本は数学的な議論をかなり省いているか、わかりにくいか、のどちらかに偏っている印象があります。その中、この「キャンパスゼミ統計学(マセマ)」は統計学の授業をとっている大学生にうってつけの本です。
本書を読む上で必要な知識は高校数学Ⅱの微分積分のみ。確率と統計の基本も一から説明しているため、とりあえず微分積分の基本だけ知っていれば本書にあたることができます。
統計学でつまづきやすい点をこれでもかというほど親切に説明しているため、「来週統計学のテストがあるけど全然わからないで困っている」という大学生は本書を使えば単位をとれると思いますよ!
問題集としての側面はあまりない
「統計学キャンパスゼミ」はあくまで参考書。練習問題はほとんどありません。そのため問題集がほしいという方は別途用意する必要があります。
ただし本書はかなり具体的な例題を扱っているため、読んでいると問題を解いているような気分になります。自分で手を動かしているわけでもないのに、力がついているような気になるのは不思議ですね。
微分積分のごちゃごちゃした計算をごまかしたいという人はそもそも統計学に向いていない
少し蛇足になりますが、大学の統計学に向いているか向いていないかでいうと、微分積分のごちゃごちゃした手順をきちんと理解しようとする人は向いており、「 $\int_{-\infty}^{\infty}e^{-x^2}dx=\sqrt{\pi}$ とかいちいち計算するのめんどくさい!」という人はあまり向いていない。
統計も数学の他の分野や物理と同様、細かい計算の上に定理があります。その定理を理解するためにはどうしてもごちゃごちゃした過程をある程度理解する必要があるのです。
本書ではその「定理に達するまでの過程」をかなり重んじています。だからこそ本書を読み飛ばすことなく進めると力がつきます。
マセマの使い方
前述で軽く触れましたが、使い方の原則は
・読み飛ばさないこと
です。一度読み飛ばしてわからないところをうやむやにすると、あっという間に全部がわからなくなる。それが統計学。
まずはどっしり構えて、わからないページが出てきてもしつこく考えてなんとかクリアするようにしましょう。そうすればきっと単位をとれるはず。