絶対値のついた不等式は、外した形が決まった時点でふつうの二次不等式に戻ります。外し方は 2 通り。
∣A∣<c⟺−c<A<c
∣A∣>c⟺A<−c または A>c
c>0 とします。< のほうは 1 本の帯に閉じこめ、> のほうは左右に振り分ける。A の中身が二次式でも、この対応は変わりません。
絶対値は 0 からの距離
∣A∣ は数直線で A と原点の隔たりです。∣A∣<6 は「0 から 6 より近い」という意味で、−6 と 6 にはさまれた範囲。
∣A∣>6 は「6 より遠い」で、その帯の外側になります。
canvas: 式は呼び出しにそのまま書いてください。この引数は焼けません -> drawMath(… side.label …)
例:∣x2−3x−4∣<6
帯に閉じこめる形なので、2 本の不等式にほどけます。
−6<x2−3x−4<6
左側から片づけます。x2−3x−4>−6 を移項して x2−3x+2>0。
(x−1)(x−2)>0 で外側だから、x<1 または x>2。
右側は x2−3x−4<6 から x2−3x−10<0。(x−5)(x+2)<0 で内側の −2<x<5。
この 2 本を重ねます。
−2<x<1または2<x<5
x=0 で確かめると ∣−4∣=4<6 で成り立ち、x=1.5 なら ∣−6.25∣=6.25 で 6 を超える。1 と 2 のあいだが抜けているところが合っています。
グラフでは負の部分が折り返される
y=∣x2−3x−4∣ のグラフは、y=x2−3x−4 の x 軸より下の部分を上へ折り返した形です。
もとの放物線は x=−1 と x=4 で x 軸を切り、そのあいだが下に沈んでいる。折り返すと、そこが山になります。
y=6 の横線を引くと、交点は 4 つ。∣x2−3x−4∣<6 の答えは、山と谷が y=6 より下にいる範囲です。
canvas: 式は呼び出しにそのまま書いてください。この引数は焼けません -> drawMath(… mark …)
折り返した山の頂上は 6.25 で、y=6 より少し高い。だから 1 から 2 までのあいだが答えから抜けます。
山の高さが 6 より低ければ抜けは起きず、答えは 1 つの区間になる。y=6 の線を上下させると、答えの形が切り替わります。
例:∣x2−3x−4∣>6
こんどは左右に振り分ける形。<−6 と >6 の 2 本を別々に解き、「または」で合わせます。
x2−3x−4<−6 から x2−3x+2<0。(x−1)(x−2)<0 で 1<x<2。
x2−3x−4>6 から x2−3x−10>0。(x−5)(x+2)>0 で x<−2 または x>5。
x<−2または1<x<2またはx>5
さきほどの <6 の答えと合わせると、境界の 4 点を除いた数直線がちょうど埋まります。< と > は互いの裏側になっている。
canvas: 式は呼び出しにそのまま書いてください。この引数は焼けません -> drawMath(… face.label …)
∣x2−4∣<5 の解はどれですか。
__RESULT__
−5<x2−4<5 に開きます。左は x2>−1 ですべての実数、右は x2<9 で −3<x<3。重ねると −3<x<3 になります。左側がすべての実数になったため、右側だけが答えを決めました。
右辺が負や 0 のとき
∣A∣ は 0 以上なので、右辺の値しだいで答えが即決まります。
∣x2−1∣≤0 なら x2−1=0 で x=±1。∣x2−1∣<−2 は、左辺が 0 以上で右辺が負だから解なしです。
外す前に右辺の符号を見ておくと、この 4 つは計算せずに決まる。
中身ではなく x に絶対値がつく場合
x2−3∣x∣−4<0 は、x そのものに絶対値がついています。ここで ∣x∣2=x2 を使う。
∣x∣=t とおくと、t≥0 で t2−3t−4<0 になります。
(t−4)(t+1)<0 から −1<t<4。t≥0 とあわせて 0≤t<4。
∣x∣<4 にもどして −4<x<4 が答えです。
t≥0 の断りを落とすと −1<t の側まで残り、∣x∣>−1 という意味のない条件を引きずります。置きかえた文字の範囲を先に書いておく。
グラフは y 軸について左右対称。右半分は x2−3x−4 で、左半分はそれを鏡に映した形です。x 軸を切るのは x=±4 の 2 か所になります。
場合分けで解いても同じ答えに着く
x≥0 と x<0 に分ける道もあります。
x≥0 なら ∣x∣=x で、x2−3x−4<0。(x−4)(x+1)<0 から −1<x<4 で、x≥0 とあわせて 0≤x<4。
x<0 なら ∣x∣=−x で、x2+3x−4<0。(x+4)(x−1)<0 から −4<x<1 で、x<0 とあわせて −4<x<0。
2 つを合わせて −4<x<4。置きかえの道と同じ答えになりました。
∣x2−5x∣≤6 の解に入らないものはどれですか。
__RESULT__
−6≤x2−5x≤6 を 2 本に割ると、(x−2)(x−3)≥0 から x≤2 または x≥3、(x−6)(x+1)≤0 から −1≤x≤6 です。重ねると −1≤x≤2 または 3≤x≤6。x=2.5 はこの抜けに落ち、実際に ∣6.25−12.5∣=6.25 で 6 を超えます。
検算は絶対値をつけたまま代入する
外したあとの式ではなく、もとの形へ入れるところが目印です。
∣x2−3x−4∣<6 の答えを −2<x<1 または 2<x<5 としたなら、内側から x=3 を選んで ∣9−9−4∣=4<6。成り立っています。
外れているはずの x=1.5 も試します。∣2.25−4.5−4∣=6.25 で 6 を超え、たしかに答えの外。抜けている区間があるとき、そこを 1 点だけ試しておくと、抜けの位置まで確かめられます。
$|A| < c$ は $-c < A < c$ の 1 本の帯、$|A| > c$ は $A < -c$ または $A > c$ の左右振り分け。中身が二次式でも対応は変わりません。$|x^2-3x-4| < 6$ なら 2 本に開いて重ね、$-2<x<1$ または $2<x<5$。グラフは $x$ 軸より下を折り返した形で、山の頂上が $6.25$ だから $1$ と $2$ のあいだが抜けます。右辺が負や $0$ のときは計算せずに決まり、$x^2-3|x|-4<0$ のように $x$ 自体につく形は $|x| = t$ と置いて $t \geq 0$ を添える。場合分けで解く道も並べました。
−5<x2−4<5 に開きます。左は x2>−1 ですべての実数、右は x2<9 で −3<x<3。重ねると −3<x<3 になります。左側がすべての実数になったため、右側だけが答えを決めました。