光行差とヘッドライト効果〜速く進むと星が前へ寄る

走ると雨は前から当たる

真上から落ちてくる雨の中を走ると、雨は前から当たる。傘は、進む向きへ傾けて差すことになります。

走る人から見た雨粒の速度は、雨粒の速度から自分の速度を引いたもので、斜め前から来る向きになる。雨の降り方は変わらず、変わったのは見ている人の速さです。

光でも同じことが起き、これを光行差という。ただし光では速度の合成則を使うため、傾く角は雨と同じ計算にはなりません。

ブラッドリーが見つけた星の小さな楕円

ブラッドリーは 年から、ほぼ天頂を通るりゅう座 星の位置を測りつづけた。星の見かけの位置は、 年かけて長半径 秒角ほどの小さな楕円を描きます。

探していたのは、地球の位置によって星の向きが変わる年周視差だった。ところが見つかった動きは、地球の位置ではなく地球の速度の向きに合わせて変わり、視差とは か月ずれていました。

年、ブラッドリーはこの動きを、光の速さが有限であることと地球の公転の速さの組み合わせで説明した。地球が太陽のまわりを動いていることを、直接示した最初の観測です。

光の来る向きの変換式

止まった立場で、進む向きから角 の方向から来た光は、速さ で動く立場では次の角 の方向から来る。

図は で、、、、、 度の光が、それぞれ 、、、、 度の方向から来ることになります。

が小さいときは、ずれ はおよそ で、真横から来る光でいちばん大きい。地球の公転では で、 ラジアンは 秒角だから、ずれは 秒角ほど。ブラッドリーの測った値と合います。

速く進むと空が前へ寄る

を大きくすると、ずれは小さな角ではなくなる。空に散らばった星が、進む向きへ寄り集まっていきます。

止まった立場で真横( 度)に見えていた星は、 の方向へ移る。 なら、正面から 度のところです。

図の星は 、、、 の順に並びかわる。星の数は変わらず、並び方だけが前へ詰まっていきます。

光源が動くと光が前へ集まる

向きだけでなく、光の強さも前へ集まる。自分の立場で四方へ等しく光を出す光源が動いていると、止まって見る立場では、光が前方の狭い角の中へ集まります。

光源の立場で前半分へ出た光は、止まって見る立場では の角の中に入る。 が大きいとき、この角はおよそ ラジアンで、 なら 度ほど。これをヘッドライト効果という。

図の光源は 、、 の順に速くなり、 は 、、。光の強さを表す曲線が、前へ伸びていきます。

加速器の中で曲がる速い電子が細い光の束(放射光)を出すのも、遠くの銀河から伸びるジェットが片側だけ明るく見えるのも、この効果による。

2 つの原理
時間と長さ
ローレンツ変換
時空図
力学
一般相対性理論