光源が近づきながら光を出すと、次の波面を出すまでのあいだに光源自身も前へ進む。そのぶん前方の波面の間隔が詰まり、波長が短くなります。
遠ざかる向きでは、波面の間隔が開いて波長が伸びる。救急車が近づくと高く、遠ざかると低く聞こえる、音のドップラー効果と同じ形です。
目に見える光では、波長の短い側が青、長い側が赤。近づく光源の色は青へ、遠ざかる光源の色は赤へ寄って見えます。
音の振動数は、音源が速さ で近づくと 、聞く人が近づくと で、式が違う( は音の速さ)。空気という媒質があり、どちらが空気に対して動いているかで答えが変わるためです。
光には媒質がなく、光の速さは誰から見ても 。光源と観測者のどちらが動いているかを決める方法はなく、式は つの立場の相対速度 だけで書けなければなりません。
図の上の段は音、下の段は光。音の波は空気に対する速さで進み、光の波は誰から見ても で進む。
光源の時計で のあいだに、光源は 個の波を出す。観測者の立場では、この時間は時間の遅れで に延びます。
のあいだに光源は 近づくため、波の列の長さは 。この列が観測者を通り過ぎる時間は になる。
振動数は、波の数をこの時間で割ったもの。
を入れると、次の式になります。
遠ざかるときは を にする。この式は、音の つの式の と の相乗平均にあたり、ちょうど つのあいだの値になります。
遠ざかる光源では が小さく、波長が長くなる。色が赤のほうへ寄るため、これを赤方偏移と呼びます。
図は nm の光を出す光源を、、 で近づけ、、 で遠ざけたもの。見える波長は 、、、 nm になる。
原子が出す光の波長は、原子の種類で決まっている。水素の nm の光が nm に見えれば、光源はおよそ秒速 km で遠ざかっています。
年にハッブルは、遠い銀河ほど赤方偏移が大きいことを示し、宇宙が膨張している手がかりになった。ただし遠い銀河の赤方偏移は、このドップラー効果の式ではなく、宇宙の膨張で波長が伸びたものとして計算します。
光源が観測者のそばを通り過ぎるとき、いちばん近い点で出した光は、観測者の立場では光源の進む向きと直角に届く。近づきも遠ざかりもしない向きなので、音なら振動数は変わりません。
光では、光源の時計の遅れだけが残り、 になる。これを横ドップラー効果と呼びます。
年のアイブスとスティルウェルの実験は、速く飛ぶ水素原子が前と後ろに出す光の波長を比べ、時間の遅れによるこの のずれを確かめた。