粒子の衝突と重心系のエネルギー(的当て型と衝突型の加速器)

ぶつけると質量の合計が増える

同じ粒子を つ、正面から高い速さでぶつける。出てくるのは つとは限らず、もっと多くの粒子があらゆる向きへ飛び散ります。

出てきた粒子の質量を全部足すと、入れた 個の質量の和より大きい。衝突の前後で、質量の和は保存していません。

増えた質量の は、ぶつかる前の運動エネルギーから来ている。保存しているのは、静止エネルギーも含めたエネルギーの合計です。

使えるのは重心から見たエネルギー

持ちこんだエネルギーのすべてが、新しい粒子の質量に回せるわけではない。ぶつかったあとも全体が動いていれば、その運動量を保つための運動エネルギーが残ります。

全体の運動量が になる立場を重心系という。重心系では全体が止まっているため、そこでのエネルギーはすべて新しい粒子の静止エネルギーに回せる。

図の上の段は止まっている的に当てる場合で、ぶつかったあとも全体が前へ進む。下の段は正面からぶつける場合で、全体としては止まっています。

的当てと正面衝突で使えるエネルギー

エネルギー の粒子を、止まっている同じ粒子に当てる。重心系のエネルギーは で、 が より十分大きければ、およそ になります。

を 倍にしても、使えるぶんは 倍にしかならない。エネルギー の粒子どうしを正面からぶつければ、重心系のエネルギーは で、 に比例して増えます。

陽子どうしで重心系 GeV を得るには、正面衝突なら GeV ずつでよい。止まった陽子に当てるなら GeV、およそ GeV が必要になる。

電子と陽電子は光子になる

電子と、その反粒子の陽電子がぶつかると、 つとも消えて光子が つ残る。光子に質量はなく、質量の和は になります。

止まった電子と陽電子なら、静止エネルギーはそれぞれ MeV で、 つの光子がそれぞれ MeV を持って反対向きに飛ぶ。エネルギーの合計も運動量の合計も、前後で等しい。

逆向きの反応も起きます。十分なエネルギーの光子どうしがぶつかると、電子と陽電子が生まれる。質量の和は変わっても、エネルギーの合計は変わりません。

LHC でヒッグス粒子をつくる

陽子 個の静止エネルギーは GeV。LHC は陽子を GeV まで加速して正面からぶつけ、重心系のエネルギーは GeV で、陽子の静止エネルギーのおよそ 万 倍になります。

ヒッグス粒子の質量は GeV で、陽子およそ 個ぶん。 年に、重心系 〜 GeV の衝突のデータから見つかった。

ヒッグス粒子は 秒ほどで別の粒子に壊れるため、ためておくことはできません。調べるたびに、衝突のエネルギーから新しくつくることになる。

2 つの原理
時間と長さ
ローレンツ変換
時空図
力学
一般相対性理論