「棒と納屋のパラドックス」を同時の相対性で解く

納屋より長い棒を走らせる

長さ m の棒と、奥行き m の納屋がある。止まったままでは、棒は納屋に入りません。

棒を で走らせる。 なので、納屋の立場では棒の長さが m に縮みます。

棒の後端が入口に来た瞬間、先端はちょうど出口にある。このとき前後の扉を同時に閉めれば、棒はまるごと納屋の中に入っています。

棒の立場では納屋のほうが縮む

同じ運動を棒の立場で見ると、動いているのは納屋のほうで、縮むのも納屋になる。

納屋は m、棒は m のまま。棒は前も後ろも納屋からはみ出し、どの瞬間にもまるごとは入りません。

納屋の立場では棒が収まり、棒の立場では収まらない。この食い違いを、棒と納屋のパラドックスと呼びます。

「同時に閉める」が立場で食い違う

納屋の立場では、 つの扉を同時に閉めた。「棒がまるごと中にある」という言い方も、同じ時刻に両端がどちらも中にある、という意味で同時を含んでいます。

時空図では、扉が閉じる つの出来事は、納屋の立場の同時刻線である横一線に並ぶ。棒の立場の同時刻線は傾き の線で、これで読むと出口が閉じるほうが先になります。

同時が立場ごとに違う以上、「まるごと中にある」も立場ごとに違う。納屋の立場では正しく、棒の立場では成り立たず、どちらの測り方にも誤りはありません。

棒の立場で扉が閉じる順番

棒の立場では、棒は止まっていて、長さ m の納屋が左へ進んでくる。

まず出口の扉が、棒の先端とちょうど重なった瞬間に閉じて、すぐ開く。このとき棒の後端は、入口より m 外にあります。

納屋がさらに m 進むと、後端がちょうど入口に来て、入口の扉が閉じる。 で m 進むのにかかる時間は ナノ秒で、そのとき先端は出口から m 外へ出ています。

扉が閉じるのは、どちらも棒の端がちょうど扉の位置に来た瞬間。閉じた扉が棒の途中をふさぐことは、どちらの立場でも起きません。

棒は押し縮められていない

時空図で、棒の両端の世界線にはさまれた帯が、時空の中で棒が占める場所になる。この帯は つで、立場を変えても変わりません。

帯を納屋の同時刻線で切ると、納屋の目盛りで m。棒の同時刻線で切ると、棒の目盛りで m になる。

同じ帯を違う同時刻線で切っているだけで、棒に力がかかって縮んだわけではありません。

2 つの原理
時間と長さ
ローレンツ変換
時空図
力学
一般相対性理論