質量があると、まわりの時空は曲がる。質量が動いて並び方が変われば曲がり方も変わり、その変化は光と同じ速さで外へ広がっていく。これが重力波です。
アインシュタインは 年に自分の方程式から重力波を導いたが、そのあと長いあいだ、ほんとうにあるものかどうかで議論が続きました。
重力波が生まれるのは、並び方が変わる動きのときだけ。回転の軸のまわりで対称な星がただ自転しても重力波は出ず、 つの星が互いを回るような動きが必要になる。
つの星は半周ごとに同じ並びに戻るため、重力波は公転の半分の周期で繰り返す。
空間に浮かべた印を輪の形に並べておくと、重力波が通り過ぎるあいだ、輪は伸び縮みする。横に伸びているとき縦は縮み、少しあとには向きがいれかわります。
伸びた長さと縮んだ長さが打ち消し合うため、輪の面積は変わらない。
伸び縮みする向きのとり方は 通りある。縦と横に伸び縮みするものをプラス、それを 度回して斜めに伸び縮みするものをクロスと呼び、どんな重力波もこの つの重ね合わせで表せます。
重力波の強さは、長さがどれだけの割合で伸び縮みするかで表す。 年に初めて捕まえた重力波でも、この割合はいちばん大きいところで ほどでした。
長さ km の腕なら、伸び縮みは m。陽子の直径 m の 分の ほどです。
アインシュタイン方程式で物質と時空の曲がりを結ぶ係数 は、SI 単位で ほどしかない。そのため星がどれほど激しく動いても遠くまで届く時空の揺れはわずかで、アインシュタイン自身も重力波は測れないだろうと考えていた。
伸び縮みはレーザー干渉計で測る。 本の光を つに分けて直角に置いた 本の腕をそれぞれ往復させ、戻ってきたところで重ね合わせます。
本の腕の長さが変わらなければ、重ねた光の明るさも変わらない。重力波が通ると片方の腕が伸びてもう片方が縮むため、戻ってくる つの光の山と谷の重なり方がずれて、明るさが変わります。
同じ形の干渉計は、 年にマイケルソンとモーリーが、向きによる光の速さの違いを探すのに使ったものでもある。
m の伸び縮みを読みとるため、鏡には kg のガラスを使い、ガラスの細い糸で吊るしてある。光は腕の中を 回ほど往復し、通り道は 兆分の 気圧ほどの真空に保たれています。
この日、アメリカの LIGO にある 台の干渉計が、 ミリ秒ずれて同じ形の揺れを記録した。 台はおよそ km 離れていて、装置の中の雑音なら か所で同じ形になることはまずありません。
ずれの ミリ秒は光が km を進む ミリ秒より短く、光の速さで伝わる波としてつじつまが合う。
波形ははじめゆっくりで、終わりに向かって速く大きくなり、いちばん強くなったところで急に消えた。記録された揺れは全部で 秒に満たない。
億光年のかなたで、太陽の 倍と 倍の質量をもつブラックホールが合体していました。残ったブラックホールは太陽の 倍で、差にあたる太陽 個ぶんの質量が重力波のエネルギーになって出ていった。 で計算すると J にあたります。
合体の直前、 秒あたりに出ていたエネルギーは W に達し、見えている宇宙の星の光をすべて合わせたより大きかった。