ミュー粒子が地表まで届く理由を時間の遅れと長さの収縮で確かめる

上空 10 km でできるミュー粒子

宇宙から飛んでくる粒子(宇宙線)が大気の上のほうで空気の原子核にぶつかると、ミュー粒子という粒子ができる。できる高さはおよそ km で、ほぼ光の速さで地表へ向かいます。

ここでは速さを とします。このときローレンツ因子は 。

ミュー粒子は、地表に置いた測定器でも数多く見つかる。ところが寿命から計算すると、ほとんど届かないはずの粒子です。

寿命のあいだに進めるのは 660 m ほど

ミュー粒子は、止まっていても平均 マイクロ秒で壊れて、電子などに変わります。この マイクロ秒を平均寿命という。

平均寿命のあいだに進める距離は マイクロ秒で、およそ m。 km 進むには平均寿命の 倍ほどの時間がかかります。

壊れずに残る割合は、平均寿命の 倍の時間がたつと になる。 は数百万個に 個で、ニュートン力学のままでは、地表でたくさん見つかることを説明できません。

地上から見ると寿命が延びる

地上から見ると、ミュー粒子は で動いている。ミュー粒子が壊れるまでの時間も、時間の遅れで 倍に延びます。

マイクロ秒は、ミュー粒子といっしょに動く時計で測った寿命。地上の時計では マイクロ秒、およそ マイクロ秒になる。

マイクロ秒で進める距離は マイクロ秒で、およそ km。 km を進むあいだにたつ時間は延びた寿命の 倍ほどで、、およそ 割が地表に届く計算です。

ミュー粒子から見ると距離が縮む

ミュー粒子といっしょに動く立場では、ミュー粒子は止まっていて、寿命は マイクロ秒のまま延びない。かわりに、地球と大気が で下から近づいてきます。

動いている物の長さは 分の に縮むため、 km の大気の厚みは km、およそ m になる。

地表が m 近づくまでの時間は、平均寿命の 倍ほど。地上の立場で計算したのと同じく、、およそ 割が地表に届きます。

2 つの立場で届く割合は同じ

地上の立場では時間が延び、ミュー粒子の立場では距離が縮んだ。説明の筋道は違っても、地表に届く割合はどちらも で同じになる。

測定器に何個のミュー粒子が届いたかは、数えれば決まる 1 つの事実です。立場ごとに違ってよいのは時間や長さの値で、数えた個数ではありません。

年、フリッシュとスミスは標高 m ほどの山頂と海面近くでミュー粒子を数え、 時間あたり山頂で 個ほど、海面近くで 個ほどを得た。寿命が延びなければ、海面近くの数は 個前後まで減るはずでした。 個という数は、時間の遅れを入れた予想と合っています。

時間の遅れと長さの収縮は別々の現象ではなく、同じ現象を地上の立場で書くか、ミュー粒子の立場で書くかの違いにあたる。

2 つの原理
時間と長さ
ローレンツ変換
時空図
力学
一般相対性理論