長さを測るときは、両端の位置を同じ時刻に読む。長さの収縮は、この測り方で得た値について成り立つ話です。
目で見るときに受けとるのは、両端から出て、目に同時に届いた光。同時に届いた光は、同時に出た光ではありません。
目から遠い端を出た光は、長い道のりを進むぶん、近い端を出た光より早く出ていなければ同時には届かない。目に映る形は、出た時刻の違う光を並べたものになります。
止まっている立方体を、真上から見た図に置く。目は図の下のほうにあり、立方体の大きさに比べてじゅうぶん遠いとします。
左上の角から目までの道のりは、右下の角からの道のりより、立方体の差し渡し だけ長い。 つの光が同時に届くには、左上の角の光が だけ早く出ていなければなりません。
立方体が止まっているあいだは、早く出た光も遅く出た光も同じ位置の立方体から来るため、見える形には何も影響しない。
立方体を右へ速さ で動かします。左上の角から光が出たあと、右下の角から光が出るまでの のあいだに、立方体は だけ右へ進む。
目に届くのはこの つの光で、目に映る輪郭は、 つの位置の立方体を合わせたものになる。進む向きと反対側にある左の面が、幅 の帯として横からのぞきます。
止まっていれば、真下の目から左の面は見えません。この帯は光の速さが有限であることだけから決まり、ここまで相対性理論は使っていない。
ここで長さの収縮を加える。目に向いた手前の面は、両端から目までの道のりが等しく、同じ時刻に出た光で見えるため、測った長さのとおり に縮んでいます。
目に映る輪郭は、幅 の手前の面と、幅 の左の面が並んだもの。、 となる角 をとると、この つの幅は、縮んでいない立方体を だけ回したときの見え方と同じになります。
目に映る立方体は、縮んで平たくなるのではなく、回って見える。これをテレル回転といい、 年にテレルとペンローズがそれぞれ示しました。
図の立方体は で動いていて、 はおよそ 度。 なら 度ほど回って見える。
光が届く向きの変化は、まわりの景色すべてに効いてくる。速さ で進みながら空を見ると、星の見える向きは進む先へ寄ります。
止まっているときに進む向きから角 の方向に見えた星は、 で決まる角 の方向に見える。 なら、真横に見えていた星が正面から 度のところまで寄ります。
この向きのずれを光行差という。地球の公転()でも起きていて、星の見える向きは最大で 秒角ほどずれています。
測った形は長さの収縮で決まり、目に映る形は光が目に届くまでの時間の差も含めて決まる。動く物が縮むというときの形は、測ったほうの形です。