重力による時間の遅れ、GPS の時計が 1 日 38 マイクロ秒進む理由

加速する箱の中で天井から光を送る

重力のないところで、箱が上向きに加速度 で加速している。天井から床へ向けて、光を送ります。

光が床に届くまでには時間がかかり、そのあいだにも箱は加速を続ける。床は、光が出たときより速く上へ動きながら光を受けとります。

光源に向かって動きながら受けとるため、床ではドップラー効果で振動数が上がる。

床では振動数が の割合で上がる

天井と床の間隔を とすると、光が届くまでの時間はおよそ 。そのあいだに、床の速さは だけ増えます。

振動数の上がる割合は、この速さを で割った 。

光の振動数は、 秒に何回振れるかで決まる時計の目盛りにもなる。床で受けとった振動数が高いということは、床の人から見て、天井の時計が速く進んでいるということです。

等価原理で重力の場合に移す

等価原理から、上向きに加速する箱と、重力加速度 の重力の中に置かれた箱は見分けられない。加速する箱で成り立ったことは、重力の中でも成り立ちます。

重力の中では、高いところの時計ほど速く進み、低いところの時計ほど遅く進む。これを重力による時間の遅れと呼ぶ。

年には、原子時計を cm 持ち上げただけで進み方が変わることが測られています。

時計の進み方の比は

高いところの時計が刻む時間を 、低いところの時計が刻む時間を とすると、次のようになる。

高さ m の差なら で、 日( 秒)たっても差は ナノ秒に届きません。

この式には、時計の速さが入っていない。止まっている時計どうしでも進み方が違う点で、特殊相対性理論の時間の遅れとは別の効果です。

GPS の衛星の時計は 1 日に 38 マイクロ秒進む

GPS の衛星は、高度およそ km を回っている。重力が弱いぶん、衛星の時計は地上より 日に マイクロ秒ほど速く進みます。

衛星は秒速 km ほどで動いているため、特殊相対性理論の時間の遅れで 日に マイクロ秒ほど遅れる。差し引きで、 日に マイクロ秒ほど速く進みます。

光は マイクロ秒で km ほど進み、補正しなければ位置の計算が 日に km 以上ずれていく。そのため衛星の時計は、地上では MHz ではなく MHz で刻むように合わせてから打ち上げます。

2 つの原理
時間と長さ
ローレンツ変換
時空図
力学
一般相対性理論