太陽のまわりを回る惑星は楕円を描き、太陽は楕円の中心ではなく焦点にある。惑星が太陽にいちばん近づく点を、近日点と呼びます。
距離の 乗に反比例する力のもとでは、楕円は 周してぴったり閉じ、近日点の向きは変わらない。
軌道が必ず閉じる力は、逆二乗の力と、距離に比例するばねの力の つだけです(ベルトランの定理)。力の法則が少しでもずれると軌道は閉じず、近日点が少しずつ回っていく。
水星の近日点は、 年で 秒角、およそ 度回っている。 秒角は 分の 度です。
大部分は、金星や地球や木星の引力で説明がつく。ニュートンの重力で計算すると 秒角で、 秒角が残ります。
年、ルヴェリエはこの残りを説明するため、水星より内側に未知の惑星があると考えた。のちにバルカンと呼ばれたこの惑星は、探しても見つかりませんでした。
一般相対性理論で惑星の運動を計算すると、ニュートンの逆二乗の力に、距離の 乗に反比例する小さな項が加わった形になる。
遠いところではこの項はほとんど効かず、太陽に近いところでだけ大きくなる。図は、足した項をほんとうより大きく描いたものです。
この項があると軌道は閉じず、 周ごとに近日点が ラジアンだけ進む。 は万有引力定数、 は太陽の質量、 は軌道の長半径、 は離心率です。
太陽に近いほど 周あたりのずれが大きく、公転周期が短いほど 年あたりの周回が増える。
水星は太陽にいちばん近く、公転周期は 日。楕円がつぶれている()ため近日点の位置がはっきり決まり、ずれを測りやすい惑星でもある。
水星の軌道は m、。太陽の m³/s² と光速 m/s も式に入れると、 周あたり ラジアンになります。
ラジアンはおよそ 万秒角なので、 周で 秒角。 年に 周するため、 年では 秒角になる。
残っていた 秒角と、計算した 秒角が一致した。アインシュタインが 年 月に得た結果で、数日のあいだ喜びで我を忘れた、と翌年の手紙に書いています。
この 秒角は、 年から 年以上、説明がつかないまま残っていた。新しい惑星を置かず、重力の法則を書き直して説明がついたことになる。
近日点が回る効果は、重力の強いところほど大きい。 つの中性子星が互いを回る連星パルサー PSR B1913+16 では、 つがいちばん近づく点(近星点)が 年に 度回り、水星の 年ぶんの 秒角を 日ほどで回ります。
公転周期は 時間で、 年に 周する。 周あたりにすると 秒角で、水星の 秒角の 倍ほど。
銀河系の中心のブラックホール、いて座 A* のまわりを 年で回る星 S2 では、 周ごとにおよそ 分角( 度)回ることが、 年に観測で確かめられた。
どちらの回り方も、一般相対性理論で計算した値と合っています。