同時の相対性〜走る列車で光が前後の壁に届く順番

車両のまん中で光を出す

長さ の車両のまん中で、光を一瞬だけ出します。光は前へも後ろへも、同じ速さ で広がっていく。

まん中から前の壁までも後ろの壁までも、距離は 。光はどちらの壁にも、出てから 後に届きます。

光が後ろの壁に届くことと、前の壁に届くこと。車内の人にとって、この 2 つの出来事は同時に起きる。

地面から見ると後ろの壁が先

同じ光を地面から見ます。光は出た場所を中心に、やはり速さ で広がり、車両の速さ は足されない。

光が広がるあいだに、車両は右へ進む。後ろの壁は光に向かって進み、前の壁は光と同じ向きに遠ざかります。

地面で測った車両の長さを とすると、光が後ろの壁に届くまでの時間は 、前の壁までは 。地面の人にとっては後ろの壁が先に光を受け、前の壁はあとから受けます。

2 つの時刻の差は 。長さ m の車両が時速 km で走っていても 秒ほどで、ふだん気づく大きさではありません。

どちらの測り方も正しい

上の段は車内から、下の段は地面から、同じ光の広がりを描いた図。どちらかが錯覚ということはなく、車内の人も地面の人も、それぞれの立場で正しく測っています。

違うのは、時刻を読むための時計です。車内の人は車内に並べて合わせた時計で、地面の人は地面に並べて合わせた時計で、光が届いた時刻を読む。

2 つの出来事が同時かどうかは、どの立場から測るかを選んではじめて決まる。これを同時の相対性といいます。

時空図で見る同時刻線の傾き

横軸に位置 、縦軸に をとった図を時空図といいます。縦軸を ではなく にすると、光の進む道がちょうど 度の線になる。

地面の立場で同時な出来事は、横一線に並ぶ。この線を同時刻線と呼びます。

時空図に、車内で同時だった 2 つの出来事を置く。時刻の差 のあいだに車両は 進むため、2 点の位置の差は です。

2 点を結ぶ線の傾きは 。車内にとっての同時刻線は、傾き の線になります。

図では、同時刻線を横一線から傾き まで傾けていく。横一線では高さのずれていた 2 点が、傾き のところで同じ線に乗ります。

順序がいれかわるのは光で結べない 2 つだけ

立場の速さ は を越えられないため、同時刻線の傾き はいつも より小さい。どの立場の同時刻線も、 度の線より水平に近くなっています。

原点から光か光より遅いもので届く出来事は、図の塗った範囲にあります。この範囲を光円錐の内側といい、そこにある出来事は、どの立場の同時刻線で見ても原点よりあとになる。

立場によって順序がいれかわるのは、塗っていない範囲にある、光でも間に合わないほど離れた出来事だけです。

光でも間に合わない 2 つの出来事のあいだでは、一方がもう一方に影響を与えられない。そのため原因と結果の順序は、どの立場から見ても同じになります。

2 つの原理
時間と長さ
ローレンツ変換
時空図
力学
一般相対性理論