衝突の前後で運動量の和が変わらないことは、力学の基本となる決まりです。相対性原理から、ある立場で成り立つなら、どの立場でも成り立たなければならない。
ところが運動量を とすると、ある立場で和が保存していても、速度を合成則で別の立場へ読み替えたとき、前後の和がそろわなくなる。図は同じ衝突を つの立場から描いたもので、下の段では前後の和が変わっています。
速度の合わせ方が足し算でなくなった以上、運動量の式も書き直すことになる。
速度 の分母 は、見ている側の時計で測った時間で、立場ごとに変わります。
かわりに、物といっしょに動く時計の固有時間 で割る。 より で、運動量は次の形になります。
はエネルギー と組になって 4 元運動量をつくる。4 元運動量の和はある立場で保存すればどの立場でも保存するため、 はどの立場でも保存します。
力を加え続けると、運動量はいくらでも大きくなる。速さのほうは に近づくだけで越えず、増えるぶんは が引き受けます。
で 、 で 、 で 。速さはわずかしか変わらないのに、運動量は大きく変わる。
LHC で加速される陽子はエネルギー TeV で、 はおよそ 、速さは光の パーセントです。加速で増えているのは、ほとんどが運動量とエネルギー。
を と読み、速く動く物ほど質量が増えると説明されることがある。いまはこの言い方を使いません。
力を運動の向きに加えるか横向きに加えるかで、加速のしにくさは にも にもなり、 つの「増えた質量」では書けない。
質量 は、物が止まって見える立場で測った つの数で、どの立場でも同じ値です。図の玉は 、、、 で動き、 は 、、、 と変わるが、質量は変わらない。
が よりずっと小さければ で、 になります。
図の 本の曲線は ではほとんど重なり、 は より パーセント大きいだけ。 では 倍になる。
書き直した運動量は、ニュートン力学の を、遅い速さでの近似として含んでいます。