そもそも 2 つの円は交わるのか……中心間の距離が答えを握る
2 つの円が交わるかどうかは、連立方程式を解く前に決まっています。中心どうしの距離 と、半径の和 、半径の差 を比べるだけ。
交わると分かってから交点を求めます。求め方も 2 次方程式を解く形ではなく、2 つの式を引き算して直線を出すところから始まる[3]。
中心間の距離と半径を比べる
円 の中心を 、半径を 、円 の中心を 、半径を とします。 と置きます。
から へ向かう直線の上で考えると分かりやすい。この直線と 2 円が切りとる区間が重なるかどうかが、そのまま位置関係になります。
が より大きいあいだ 2 円は離れています。 に届いた瞬間が外接で、そこから までのあいだが 2 点で交わる状態。 を割ると小さい円が大きい円の内側に入ります。
5 つの場合
境目の 2 つを含めると、起こりうる形は 5 通りです。共有点の個数は 、、、、 と変わります。以下では として書きます。
| 条件 | 位置関係 | 共有点 |
|---|---|---|
| 離れている | 0 | |
| 外接する | 1 | |
| 2 点で交わる | 2 | |
| 内接する | 1 | |
| 内側にある | 0 |
で なら 2 円は一致します。表からは外れる特別な場合ですが、問題ではまず現れません。
外接と内接はどちらも「接する」と呼ばれます。問題文に接するとだけ書いてあるときは、両方を調べる必要がある[5]。
例 1:位置関係を判定する
と の位置関係を調べます。
中心は と なので 、半径は 、 です。
なので外接します。共有点は 1 個で、それは線分 を に内分する点、つまり 。
例 2:接する条件から半径を決める
中心 、半径 の円と、中心 、半径 の円が接する を求めます。
です。外接なら 、内接なら 。
外接からは 、内接からは または です。半径は正なので と の 2 つが答えになります。
のときは小さい円が大きい円の内側にあって内接します。接すると言われたら両方を調べる、という手順がここで効きます。
交点を求めるには 2 式を引く
2 円の方程式を連立するとき、そのまま代入すると 4 次の項が出て面倒です。先に引き算をします[1]。
引くと と が消えて、 次式だけが残ります。
この直線と、もとの円のどちらか一方を連立すれば交点が出ます。 次方程式を 1 回解くだけで済む。
引き算で出る直線は根軸
引き算で現れた直線には名前があります。2 円に対する方べきの値が等しい点の集まりで、根軸と呼ばれます[1][2]。
点 の円に対する方べきは で定義されます。外部なら正、円周上なら 、内部なら負[4]。
根軸は 2 つの交点を通る直線になる。共通弦を含む直線そのもの
根軸は接点を通る共通接線になる。交点が 1 つに重なった形
根軸は中心を結ぶ直線に必ず垂直です。式の法線ベクトルが で、これが中心の差に平行だから[2]。

点線が根軸、その中の太い部分が共通弦です。根軸は円の外まで伸びていて、交点のあいだだけが弦になっています。
例 3:交点を求める
と の交点を求めます。
引き算すると から です。これが根軸で、 軸に平行な直線になりました。
第 1 式に代入します。
交点は と です。第 2 式に入れても となり、両方の円の上にあると確かめられます。
例 4:共通弦の長さ
いまの 2 円の共通弦の長さを求めます。交点が分かっているので引き算だけで済みます。
と の距離は です。交点を求めずに出すこともできます。
第 1 円の中心 から根軸 までの距離は で、半径は 。弦の半分は なので、全体は になります。
は中心から根軸までの距離です。交点の座標が汚いときは、こちらのほうが速い。
交わらないときも直線は出る
引き算はいつでもできるので、交わらない 2 円でも根軸は現れます。ただしその直線は 2 円のどちらとも交わりません[2]。
方べきが等しい点の集まり、という定義のほうが素直です。交点を通ることは、交わる場合に限って言える追加の性質。
交わらない 2 円でも 根軸 は存在します。交点を通る直線としてだけ覚えていると、この場合に説明が付かなくなります。
2 円への方べきが等しい点の集まりで、中心を結ぶ線に垂直な直線。
一方が他方の内部にあるときも同じです。根軸は 2 円の外側に離れた位置に引かれます。
例 5:接するときの接点
と の位置関係と、接するならその接点を求めます。
、、 で です。外接します。
引き算で根軸を出します。第 2 式を展開すると で、第 1 式 との差は 、つまり 。
を第 1 式に入れると から です。接点は で、 点に重なりました。
判別式が になる形と同じで、根号の中が消えることが接することにあたります。
例 6:内接する 2 円
と を調べます。
、、 で です。 なので内接します。
根軸は と の差から 、つまり 。第 1 式に入れると で、接点は です。
小さい円が大きい円の内側から 点で触れています。外接と同じ計算で処理できました。
2 円が直交する条件
交点で 2 円の接線が直交するとき、2 円は直交すると言います。交点と 2 中心が直角三角形を作るので、条件は三平方の形になります。
交点における接線は、それぞれの半径に垂直です。接線どうしが直交することと、半径どうしが直交することが同じ[5]。
例 7:直交する 2 円
と が直交するかを調べます。
、 です。一致したので直交します。
念のため交わっているかも見ておきます。 で、、。範囲の中に収まっているので 2 点で交わっています。
共通接線の本数
位置関係が決まると、2 円に共通の接線が何本引けるかも決まります。離れているときがいちばん多い。
共有点の個数が 、、、、 と山を描くのに対し、接線の本数は から へ単調に減ります。位置関係を答えるとき、この 2 つの数を両方言えると確かです。

実線が外側の共通接線、点線が内側の共通接線です。内側の 2 本は 2 円のあいだを通り、中心を結ぶ線分と交わります。
3 つ以上の円と根心
円が 3 つあるとき、3 組の根軸は 1 点で交わります。この点を根心と呼び、3 円すべてに対する方べきが等しい[1]。
証明は短い。円 1 と円 2 の根軸、円 2 と円 3 の根軸の交点を とすると、 の方べきは 3 つとも等しくなります。したがって円 1 と円 3 の根軸にも が乗ります。
3 直線が 1 点で交わることを、計算なしで言える珍しい例です。
と が 2 点で交わる の範囲はどれですか。
中心が 軸上を左右に動くので、負の側にも同じ範囲が現れます。 は距離なので、はじめから絶対値で置いておくととりこぼしません。
よくある誤り
と と の 3 つを最初に書き出す。この習慣だけで、位置関係の問題はほとんど片づきます。










d=∣a∣、R=4、r=2 です。2 点で交わる条件は ∣R−r∣<d<R+r なので 2<∣a∣<6 になります。a が負のときも成り立つので、絶対値のまま書く必要があります。