検出力と検出力関数

検出力は、対立仮説が正しいときに帰無仮説を正しく棄却できる確率です。検定の「効果を見つける能力」を表す指標であり、研究計画において標本サイズを決定する際に重要な役割を果たします。

検出力の定義

検出力(power)は で定義されます。ここで は第二種の過誤の確率です。

検出力が高いほど、実際に効果があるときにそれを検出できる確率が高くなります。一般に検出力 0.8(80%)以上が望ましいとされます。

検出力関数

対立仮説のパラメータ値を としたとき、検出力を の関数として表したものを検出力関数といいます。

帰無仮説 : に対して、(有意水準)となります。 から離れるほど検出力は高くなり、理想的には 1 に近づきます。

検出力に影響する要因

検出力は以下の要因によって変化します。

効果の大きさについては、真のパラメータ値が帰無仮説の値から離れているほど検出力は高くなります。大きな効果は検出しやすいということです。

標本サイズについては、 が大きいほど検出力は高くなります。これは標本平均の分散が とともに減少するためです。

有意水準については、 を大きくすると棄却域が広がり、検出力は高くなります。ただし第一種の過誤の確率も上がるのでトレードオフがあります。

母集団の分散については、 が小さいほど検出力は高くなります。ばらつきが小さいと効果を検出しやすくなります。

標本サイズの決定

研究計画では、望ましい検出力を達成するために必要な標本サイズを事前に計算します。

例えば、母平均の両側 z 検定で有意水準 、検出力 を達成するには

程度の標本サイズが必要です。ここで , は標準正規分布の上側パーセント点です。

検出力分析を行わずに研究を進めると、標本サイズが不足して本来あるはずの効果を検出できない(検出力不足)という問題が生じることがあります。