位相空間 において、部分集合 の閉包(closure)とは、 を含む最小の閉集合のことである。記号では や と書く。
同値な定義がいくつかある。
を含むすべての閉集合の共通部分
のすべての触点からなる集合
( は の導集合)
ここで、点 が の触点であるとは、 の任意の開近傍 に対して が成り立つことをいう。
具体例
に通常の位相を入れたとき、開区間 の閉包は閉区間 である。端点 と はどちらも触点だからだ。 の任意の開近傍は と交わりをもつ。
有理数全体 の閉包は 全体である。任意の実数の近傍には有理数が存在するため、すべての実数が の触点となる。
閉包の基本性質
閉包作用素 は次の Kuratowski の公理を満たす。
(冪等性)
逆に、これら 4 条件を満たす作用素から位相を定義することもできる。閉集合を となる集合として定め、開集合をその補集合として定義すればよい。