位相空間 において、部分集合がどれだけ「広がっているか」を表す概念として稠密集合と疎集合があります。
稠密集合の定義
部分集合 が稠密(dense)であるとは、 の閉包が 全体に一致すること、すなわち が成り立つことをいいます。
同値な条件として、 の任意の空でない開集合 に対して が成り立つ、というものがあります。直感的には、 は のどの領域にも「染み出している」状態です。
稠密集合の例
有理数全体 は実数 (通常の位相)において稠密です。任意の実数 と任意の に対して、開区間 には必ず有理数が含まれるからです。
同様に、無理数全体 も において稠密です。これは有理数と無理数がともに実数直線上で「隙間なく分布している」ことを示しています。
疎集合の定義
部分集合 が疎(nowhere dense)であるとは、 の閉包の内部が空であること、すなわち が成り立つことをいいます。
疎集合は稠密集合の対極にある概念で、どの開集合の中にも「広がり」を持たない集合です。
疎集合の例
整数全体 は において疎です。 は閉集合なので であり、 は開区間を含まないため となります。
Cantor 集合も における疎集合の典型例です。Cantor 集合は閉集合ですが、その内部は空です。
稠密と疎の関係
集合 が疎であることと、補集合 が稠密であることは同値です。疎集合の閉包は「薄い」ため、その外側が空間全体に広がるからです。
また、稠密集合の補集合は内部を持ちません。 ならば は空でない開集合を含むことができないからです。