逆関数定理と陰関数定理は、多変数の微分法における基本的な存在定理です。非線型方程式を局所的に解くことを保証します。
逆関数定理
を 級写像とし、 でヤコビ行列 が正則(行列式が でない)とします。
このとき、 の近傍 と の近傍 が存在して、 は 級の逆写像 をもちます。さらに
が成り立ちます。
1変数の場合
で ならば、 の近傍で は逆関数をもちます。これは1変数の逆関数の微分の一般化です。
2変数の例
(複素数の2乗に対応)を考えます。
で なので、原点以外の各点の近傍で逆写像が存在します。
陰関数定理
を 級写像とし、 を満たす点で
が正則とします。ここで , です。
このとき、 の近傍で定義された 級関数 が存在して、 かつ を満たします。
陰関数定理の意味
方程式 から、 を の関数として局所的に解けることを保証しています。
1変数の例
を考えます。 で なので、この点の近傍で と解けます。実際 です。
一方 では なので定理は適用できません。この点で円は 軸に接しており、 を の関数として表せません。
陰関数の微分
から決まる の導関数は、 を で微分して
逆関数定理と陰関数定理の関係
逆関数定理から陰関数定理を導くことができ、逆も可能です。両定理は本質的に同等です。
を解くことは、写像 の逆写像を求めることに帰着します。
応用
これらの定理は、微分方程式の解の存在、多様体の局所的パラメータ付け、最適化問題のラグランジュの未定乗数法の正当化など、解析学の様々な場面で使われます。