位相空間における「点の周り」を捉える概念が近傍です。開集合を使わずに位相を特徴づける方法として、近傍系による公理化があります。
近傍の定義
位相空間 において、点 の近傍(neighborhood)とは、 を内点として含む集合のことです。すなわち、集合 が の近傍であるとは、ある開集合 が存在して を満たすことをいいます。
近傍自体は開集合である必要はありません。重要なのは、 を含む開集合を内部に持つことです。 を含む開集合はすべて の近傍であり、これを開近傍と呼びます。
近傍の例
において、閉区間 は点 の近傍です。開区間 が を含み、 に含まれるからです。一方、 は点 の近傍ではありません。 を含むどんな開区間も負の数を含み、 に収まらないからです。
近傍系の定義
点 の近傍全体の集合を の近傍系(neighborhood system)と呼び、 や と書きます。近傍系は次の性質を満たします。
が任意の で成り立つ
かつ ならば
ならば
任意の に対して、ある が存在し、 の各点 で となる
4番目の条件は、近傍の「内部」が再び近傍を与えることを保証しています。
近傍系による位相の特徴づけ
集合 の各点 に上記の4条件を満たす集合族 が与えられたとき、「すべての点で近傍となる集合」を開集合と定義すると位相が定まります。逆に、位相から定まる近傍系はこれらの条件を満たします。
このように、開集合と近傍系は位相空間を同等に記述する2つの方法です。
近傍基の定義
点 の近傍系 の部分集合 が近傍基(neighborhood base)であるとは、任意の に対して を満たす が存在することをいいます。
距離空間では、点 を中心とする開球体 ()が可算な近傍基を成します。第一可算空間とは、各点が可算な近傍基を持つ空間のことです。