Baireのカテゴリー定理は、完備距離空間や局所コンパクトハウスドルフ空間が「大きい」ことを主張します。関数解析の基礎となる重要な定理です。
定理の主張
完備距離空間または局所コンパクトハウスドルフ空間 において、可算個の稠密な開集合の共通部分は稠密である。
同値な言い換えとして、 は可算個の疎集合(nowhere dense set)の和集合として表せない、があります。
Baireカテゴリーの用語
集合 が第一類(meager, first category)であるとは、可算個の疎集合の和集合として表せることをいいます。第一類でない集合を第二類(nonmeager, second category)といいます。
Baireのカテゴリー定理は、完備距離空間や局所コンパクトハウスドルフ空間が第二類であることを主張しています。
証明の概略(完備距離空間の場合)
稠密な開集合の列 と空でない開集合 が与えられたとき、 を示します。
が稠密なので は空でない開集合を含みます。閉球 で半径 のものを取ります。同様に で半径 のものを取り、帰納的に続けます。
は減少する空でない閉集合の列で、直径は に収束します。完備性により は一点を含み、この点は に属します。
Baireのカテゴリー定理の応用
Baireのカテゴリー定理は関数解析の三大定理の証明に用いられます。
一様有界性原理(Banach-Steinhaus)
開写像定理
閉グラフ定理
また、「ほとんどの連続関数はどこでも微分可能でない」といった存在定理の証明にも使われます。 において、各点で微分可能な関数全体は第一類集合であることが示せます。
有理数がBaire空間でないこと
有理数 は完備でなく、Baireのカテゴリー定理は成り立ちません。実際 と書け、各 は疎集合なので、 は第一類集合です。