パラコンパクト性は被覆の細分に関する条件で、1の分割の存在と密接に関係します。多様体論や微分トポロジーで基本的な役割を果たします。
パラコンパクトの定義
位相空間 がパラコンパクト(paracompact)であるとは、任意の開被覆が局所有限な開細分を持つことをいいます。
被覆 が被覆 の細分(refinement)であるとは、各 に対してある が存在して となることです。
被覆 が局所有限(locally finite)であるとは、各点が有限個の としか交わらない近傍を持つことです。
パラコンパクト空間の例
コンパクト空間はパラコンパクトです。任意の開被覆が有限部分被覆を持つので、有限被覆は明らかに局所有限です。
すべての距離空間はパラコンパクトです(Stoneの定理)。特に や任意の多様体はパラコンパクトです。
1の分割の定義
位相空間 上の1の分割(partition of unity)とは、連続関数の族 で次を満たすものです。
は局所有限
各点 で
開被覆 に従属する1の分割とは、 となる1の分割です。
パラコンパクト性と1の分割
ハウスドルフ空間 がパラコンパクトであることと、任意の開被覆に従属する1の分割が存在することは同値です。
正確には、 が正規かつパラコンパクトならば、任意の局所有限な開被覆に従属する1の分割が存在します。
1の分割の応用
1の分割は局所的な構成を大域的に貼り合わせる道具として使われます。
多様体上のリーマン計量の存在証明
ベクトル束の接続の構成
微分形式の局所表示から大域的な形式への拡張
埋め込み定理(Whitneyなど)の証明
パラコンパクト性は「局所的な情報を大域的に統合できる」という性質を保証し、多様体論の基盤となります。