共変微分はベクトル場を微分する操作であり、接続によって定まる。リーマン幾何学において曲率や測地線を定義する基礎となる。
方向微分の問題
関数 のベクトル場 による微分 は自然に定義できる。しかしベクトル場 の による微分を定義しようとすると問題が生じる。
を座標で微分すると となるが、これは座標の取り方に依存する。座標変換で基底 も変わるためである。
接続の定義
接続(connection)または共変微分(covariant derivative)とは、ベクトル場の組 に対してベクトル場 を対応させる演算で、次を満たすものである。
(第一引数で -線型)
(第二引数で加法的)
(Leibniz 則)
Christoffel 記号
座標近傍で接続は Christoffel 記号 によって表される。
一般のベクトル場 に対して
となる。
Levi-Civita 接続
リーマン多様体 には、次の2条件を満たす唯一の接続が存在する。
計量との両立:
捩れなし:
これを Levi-Civita 接続という。
Levi-Civita 接続の公式
Levi-Civita 接続は Koszul の公式で与えられる。
この公式から接続の一意性と存在が従う。
Christoffel 記号の公式
Levi-Civita 接続の Christoffel 記号は
で与えられる。 は の逆行列の成分である。
平行移動
曲線 に沿ったベクトル場 が平行であるとは
を満たすことをいう。初期値 を与えると、平行なベクトル場が一意に存在する。
これにより に沿った平行移動 が定まる。
平行移動と計量
Levi-Civita 接続では、平行移動は内積を保つ。すなわち
が成り立つ。平行移動は各接空間の間の等長写像を与える。
テンソル場への拡張
共変微分はテンソル場に自然に拡張される。-型テンソル場 に対して は -型テンソル場となる。
関数(-型)に対しては である。
曲線に沿った共変微分
曲線 に沿ったベクトル場 の共変微分は
と書く。座標では
となる。