リッチ曲率とスカラー曲率はリーマン曲率テンソルから得られる縮約であり、曲率の平均的な情報を表す。一般相対性理論で中心的な役割を果たす。
リッチテンソルの定義
リッチテンソル(Ricci tensor) はリーマン曲率テンソルの縮約である。
成分では
と書く。リッチテンソルは対称テンソル である。
リッチ曲率の意味
における単位ベクトル に対して、 は を含む測地線束の「体積の変化率」を測る。
正のリッチ曲率は測地線が収束する傾向を、負のリッチ曲率は発散する傾向を示す。
スカラー曲率の定義
スカラー曲率(scalar curvature) はリッチテンソルのトレースである。
これは各点で実数値を取る関数である。
スカラー曲率の意味
における小さな測地球の体積を 、 での同半径の球の体積を とすると
正のスカラー曲率は体積が小さくなることを、負は大きくなることを意味する。
2次元の場合
では、リッチテンソルとスカラー曲率は Gauss 曲率 で決まる。
2次元では3つの曲率概念はすべて同値な情報を持つ。
3次元の場合
では、リーマン曲率テンソルはリッチテンソルで完全に決まる。
4次元以上
では、リッチテンソルで決まらない部分が残る。これを Weyl テンソル という。
Weyl テンソルは共形不変な量であり、共形幾何学で重要となる。
Einstein 計量
リッチテンソルが計量の定数倍
を満たすとき、計量を Einstein 計量という。このとき である。
球面 、双曲空間 、複素射影空間 は Einstein 計量を持つ。
発散公式
第二 Bianchi 恒等式から
が導かれる。ここで は発散作用素である。
Einstein テンソル
一般相対性理論では Einstein テンソル
が用いられる。発散公式から となり、これがエネルギー保存則と整合する。
Einstein 方程式は ( はエネルギー運動量テンソル)である。