極小曲面は平均曲率がゼロの曲面であり、局所的に面積を最小にする性質を持つ。石鹸膜が形成する形状として物理的にも現れる。
極小曲面の定義
曲面 の平均曲率が恒等的にゼロ
を満たすとき、 を極小曲面(minimal surface)という。
主曲率について が成り立つ。
面積の変分
極小曲面という名前は「面積を極小にする」ことに由来する。境界を固定した曲面の面積汎関数
の第一変分が消える条件が である。
石鹸膜
石鹸膜は表面張力を最小化するため、境界(針金の枠)を固定したとき極小曲面を形成する。
ただし、石鹸膜は局所極小であり、大域的に面積最小とは限らない。
極小曲面の方程式
の形で表される曲面が極小曲面となる条件は
である。これは非線型楕円型偏微分方程式である。
平面
最も単純な極小曲面は平面である。 なので は自明に満たされる。
懸垂面(カテノイド)
軸周りの回転面で極小となるものは懸垂面
である。懸垂線 を回転させた形状となる。
懸垂面は平面を除いて唯一の極小回転面である。
螺旋面(ヘリコイド)
螺旋面は
で定義される。螺旋階段のような形状であり、極小曲面である。
螺旋面と懸垂面は局所的に等長であり、連続的に変形できる(associate family)。
Scherkの曲面
Scherk の曲面は
で定義される。周期的な馬の鞍が並んだ形状をしている。
Enneper曲面
Enneper 曲面は
で定義される。自己交差を持つが、極小曲面である。
Weierstrass-Enneper表現
極小曲面は複素解析を用いて構成できる。正則関数 と有理型関数 から
によって極小曲面が得られる。これを Weierstrass-Enneper 表現という。
Plateauの問題
与えられた閉曲線を境界とする極小曲面を求める問題を Plateau の問題という。
Douglas と Radó が1930年代に解の存在を証明し、Douglas は Fields 賞を受賞した。
Bernsteinの定理
内で (全平面で定義)の形の完備極小曲面は平面に限る。
これを Bernstein の定理という。高次元では反例が存在する。
安定性
極小曲面の安定性は面積汎関数の第二変分で判定される。第二変分が非負の極小曲面を安定という。
平面、懸垂面、螺旋面は安定である。