平行移動とホロノミー

ホロノミーは閉曲線に沿った平行移動によって生じる「ずれ」を測り、接続の大域的性質を反映する群である。曲率とホロノミーは Ambrose-Singer の定理で結びつく。

平行移動の復習

ベクトル束 上の接続 と曲線 に対して、平行移動

が定まる。これは線型同型であり、計量接続なら内積を保つ。

閉曲線と平行移動

が閉曲線()のとき、平行移動は 上の自己同型

を与える。空間が平坦でなければ、 となりうる。

ホロノミー群の定義

におけるホロノミー群 は、 を始点と終点とする区分的に滑らかな閉曲線に沿った平行移動全体がなす群である。

基点への依存性

を結ぶ曲線 があれば、 によって

となる。 が連結なら、ホロノミー群は基点によらず同型な群となる。

制限ホロノミー群

可縮な閉曲線( に連続的につぶせる閉曲線)に沿った平行移動全体を制限ホロノミー群 という。

の連結成分であり、正規部分群である。

平坦接続とホロノミー

(平坦接続)のとき、 となる。

平坦接続のホロノミー群は離散的であり、基本群 の表現として実現される。

Ambrose-Singerの定理

制限ホロノミー群のリー環 は、曲率形式の値で生成される。

具体的には、 から への曲線、 とすると、 の形の元全体が を張る。

球面の例

上の Levi-Civita 接続を考える。北極から出発して大円に沿って一周すると、接ベクトルは回転する。

ホロノミー群は となる。回転角は囲む面積(球面では立体角)に比例する。

Holonomy と曲率

閉曲線 が囲む領域の曲率の積分とホロノミーが関係する。小さな閉曲線では

となる(近似)。曲率はホロノミーの「微小版」である。

リーマン多様体のホロノミー

リーマン多様体の Levi-Civita 接続のホロノミー群は または の部分群となる。

向き付け可能:
一般の場合:
計量が平坦:

Bergerの分類

既約で対称空間でないリーマン多様体のホロノミー群は次のいずれかである。

:一般的な場合
:ケーラー多様体
:Calabi-Yau 多様体
:超ケーラー多様体
:quaternionic-Kähler
):例外的
):例外的

物理学との関係

Berry 位相は量子力学におけるホロノミーの一種である。パラメータ空間の閉曲線に沿った断熱変化で、波動関数に位相因子が生じる。