偏微分の計算問題を通じて、多変数関数の微分の技術を身につける。
問題1:基本的な偏微分
f(x,y)=x3y+xy2−3xy について、fx, fy, fxy を求めよ。
解答1
y を定数とみなして x で微分する。
fx=3x2y+y2−3y
x を定数とみなして y で微分する。
fy=x3+2xy−3x
fx を y で微分する。
fxy=3x2+2y−3
検算として fyx=3x2+2y−3 も確認できる(Schwarzの定理)。
問題2:合成関数の偏微分
z=f(x,y)=exy について、∂x∂y∂2z を求めよ。
解答2
∂x∂z=yexy
∂y∂x∂2z=exy+xyexy=(1+xy)exy
問題3:連鎖律
z=x2+y2 で x=rcosθ, y=rsinθ のとき、∂r∂z と ∂θ∂z を求めよ。
解答3
連鎖律より
∂r∂z=∂x∂z∂r∂x+∂y∂z∂r∂y
=2x⋅cosθ+2y⋅sinθ=2rcos2θ+2rsin2θ=2r
∂θ∂z=∂x∂z∂θ∂x+∂y∂z∂θ∂y
=2x⋅(−rsinθ)+2y⋅rcosθ=−2r2cosθsinθ+2r2sinθcosθ=0
直接 z=r2 とすれば ∂r∂z=2r, ∂θ∂z=0 と一致する。
問題4:高階偏微分
f(x,y)=sin(x+y)+sin(x−y) について、∂x2∂2f+∂y2∂2f を求めよ。
解答4
fx=cos(x+y)+cos(x−y)
fxx=−sin(x+y)−sin(x−y)
fy=cos(x+y)−cos(x−y)
fyy=−sin(x+y)−sin(x−y)
fxx+fyy=−2sin(x+y)−2sin(x−y)=−2f
これは波動方程式 fxx−fyy=0 の解ではなく、Helmholtz 方程式の形をしている。
問題5:勾配ベクトル
f(x,y,z)=x2+2y2+3z2 の点 (1,1,1) における勾配ベクトル ∇f を求めよ。
解答5
∇f=(∂x∂f,∂y∂f,∂z∂f)=(2x,4y,6z)
(1,1,1) で ∇f=(2,4,6)。
勾配ベクトルは f が最も急に増加する方向を指す。大きさ ∣∇f∣=4+16+36=56=214 が最大の方向微分係数。
問題6:Laplacian
f(x,y)=exsiny について、Δf=fxx+fyy を求めよ。
解答6
fx=exsiny,fxx=exsiny
fy=excosy,fyy=−exsiny
Δf=exsiny−exsiny=0
f は調和関数(Δf=0)である。ez=ex(cosy+isiny) の虚部が調和関数になることと対応する。
問題7:極値問題
f(x,y)=x2+xy+y2−3x の極値を求めよ。
解答7
fx=2x+y−3=0,fy=x+2y=0
第2式より x=−2y。第1式に代入して −4y+y−3=0、y=−1、x=2。
停留点は (2,−1)。
fxx=2,fyy=2,fxy=1
D=fxxfyy−fxy2=4−1=3>0,fxx=2>0
よって (2,−1) で極小値 f(2,−1)=4−2+1−6=−3 を取る。