全微分の計算問題を通じて、近似や誤差評価の技術を身につける。
問題1:全微分の計算
f(x,y)=x2y+xy3 の全微分 df を求めよ。
解答1
全微分の定義より
df=∂x∂fdx+∂y∂fdy
∂x∂f=2xy+y3,∂y∂f=x2+3xy2
df=(2xy+y3)dx+(x2+3xy2)dy
問題2:近似値の計算
f(x,y)=x2+y2 として、(3.02,3.97) における f の近似値を全微分を用いて求めよ。
解答2
(x0,y0)=(3,4) のまわりで近似する。f(3,4)=5。
∂x∂f=x2+y2x,∂y∂f=x2+y2y
(3,4) で fx=53, fy=54。
dx=0.02, dy=−0.03 として
df≈53(0.02)+54(−0.03)=0.012−0.024=−0.012
f(3.02,3.97)≈5+(−0.012)=4.988
真の値は 9.1204+15.7609=24.8813≈4.9881 で、近似は良好。
問題3:誤差の伝播
直方体の体積 V=xyz において、x=2±0.01, y=3±0.02, z=4±0.01 のとき、V の誤差を見積もれ。
解答3
dV=yzdx+xzdy+xydz
(x,y,z)=(2,3,4) で
dV=(3⋅4)(0.01)+(2⋅4)(0.02)+(2⋅3)(0.01)
=0.12+0.16+0.06=0.34
V=24 なので、相対誤差は 240.34≈1.4%。
最大誤差を考えるときは絶対値を取って加える:∣dV∣≤12(0.01)+8(0.02)+6(0.01)=0.34。
問題4:全微分可能性の判定
f(x,y)=∣xy∣ は原点で全微分可能か調べよ。
解答4
偏微分を調べる。x=0 で
fx(x,0)=h→0limh∣h⋅0∣−0=0
同様に fy(0,y)=0。原点で fx(0,0)=fy(0,0)=0。
全微分可能なら f(h,k)−f(0,0)=fx(0,0)h+fy(0,0)k+o(h2+k2) が成り立つはず。
f(h,h)=h2=∣h∣ なので、h=k の方向では
h2+h2f(h,h)=2∣h∣∣h∣=21→0
したがって原点で全微分可能でない。偏微分は存在するが全微分可能とは限らない例。
問題5:3変数の全微分
w=x2+y2+z2 で x=rsinϕcosθ, y=rsinϕsinθ, z=rcosϕ のとき、dw を dr, dϕ, dθ で表せ。
解答5
w=r2 なので dw=2rdr。
連鎖律で確認:
dw=2xdx+2ydy+2zdz
dx=sinϕcosθdr+rcosϕcosθdϕ−rsinϕsinθdθ 等を代入して計算すると
2xdx+2ydy+2zdz=2rdr
となる(dϕ, dθ の項は消える)。
問題6:接平面
z=x2+y2 の点 (1,2,5) における接平面の方程式を求めよ。
解答6
F(x,y,z)=x2+y2−z=0 とおく。
∇F=(2x,2y,−1)、点 (1,2,5) で ∇F=(2,4,−1)。
接平面:2(x−1)+4(y−2)−1(z−5)=0
2x+4y−z=5
別解:z−5=fx(1,2)(x−1)+fy(1,2)(y−2)=2(x−1)+4(y−2)