一様収束の判定|上限の見積もり・M 判定法・ディニの定理
一様収束かどうかは、差の上限が 0 に近づくかで決まる。各点収束は ごとに速さが違ってよいが、一様収束は全体で速さをそろえることを求める。
以下の問題は、この上限を実際に見積もる型を身につけるために並べてある。後半には、一様収束を仮定しても足りない場面を集めた。
問題 1: は で一様収束するか
の での一様収束を判定せよ。
解答 1
まず各点収束を調べる。 では 、 では のままである。極限関数は でだけ 1 を取る関数になる。
差の上限を計算する。 では差が 0 なので、上限は 上で決まる。
上限は によらず 1 のままで 0 に近づかない。したがって一様収束しない。
上限が 1 になるのは、 を 1 に十分近く取れば がいくらでも 1 に近づくからである。 ごとに見れば 0 に行くが、行く速さが とともに際限なく遅くなっている。
<svg viewBox="0 0 460 240" width="100%" style="max-width:460px;display:block;margin:0 auto">
<line x1="70" y1="200" x2="400" y2="200" stroke="#c8c8c8" stroke-width="1"></line>
<line x1="80" y1="30" x2="80" y2="215" stroke="#c8c8c8" stroke-width="1"></line>
<polyline points="80,200 380,40" fill="none" stroke="#9a9a9a" stroke-width="1.5"></polyline>
<polyline points="80,200 140,194 200,174 260,142 320,98 380,40" fill="none" stroke="#9a9a9a" stroke-width="1.5"></polyline>
<polyline points="80,200 140,200 200,198 260,188 320,148 350,110 380,40" fill="none" stroke="#1b81e0" stroke-width="1.5"></polyline>
<polyline points="80,200 260,200 320,199 335,194 350,181 365,143 374,93 380,40" fill="none" stroke="#d0562a" stroke-width="1.5"></polyline>
<circle cx="380" cy="40" r="3" fill="#1f1f1f"></circle>
<text x="55" y="24" font-size="11" fill="#1f1f1f">n を大きくしても、x = 1 の近くでは 1 に近い値が残る</text>
<text x="336" y="60" font-size="11" fill="#9a9a9a">n = 1</text>
<text x="300" y="104" font-size="11" fill="#9a9a9a">n = 2</text>
<text x="288" y="160" font-size="11" fill="#1b81e0">n = 5</text>
<text x="250" y="192" font-size="11" fill="#d0562a">n = 20</text>
<text x="55" y="230" font-size="11" fill="#9a9a9a">上限は 1 のままで、0 に近づかない</text>
</svg>問題 2:区間を狭めるとどうなるか
とする。 は で一様収束するか。
解答 2
極限関数は 全体で 0 である。差の上限は端点で決まる。
したがって一様収束する。区間を の手前で切ると、収束の速さが でそろう。
同じ関数列でも、考える区間を変えれば結論が変わる。一様収束は関数列と区間の組に対する性質である。
問題 3:上限を最大値問題として求める
は 上で一様収束するか。
解答 3
各点で である。上限を求めるため、 で最大値を探す。
で 0 になり、そこが最大値である。奇関数なので では符号が反転するだけである。
したがって一様収束する。上限を求めるのに微分を使うのが、この型の標準的な手順である。
問題 4:上限が定数のまま残る例
は 上で一様収束するか。
解答 4
を固定すると分母が の速さで増えるので、各点で である。
ところが を代入すると値が動かない。
上限は によらず 以上なので、一様収束しない。
前問との違いは、山の高さが縮むかどうかにある。前問の山は まで低くなるが、こちらは高さ のまま原点へ寄っていくだけである。
問題 5:山が逃げていく例
は で一様収束するか。
解答 5
は で高さ 1、区間 の外では 0 という三角形である。連続関数である。
では常に 0 である。 を固定すると、 となる から先は になる。したがって各点で 0 に収束する。
しかし上限は常に 1 である。よって一様収束しない。
<svg viewBox="0 0 460 220" width="100%" style="max-width:460px;display:block;margin:0 auto">
<line x1="70" y1="180" x2="415" y2="180" stroke="#c8c8c8" stroke-width="1"></line>
<line x1="80" y1="40" x2="80" y2="195" stroke="#c8c8c8" stroke-width="1"></line>
<polyline points="80,180 240,50 400,180" fill="none" stroke="#9a9a9a" stroke-width="1.5"></polyline>
<polyline points="80,180 160,50 240,180" fill="none" stroke="#9a9a9a" stroke-width="1.5"></polyline>
<polyline points="80,180 120,50 160,180" fill="none" stroke="#1b81e0" stroke-width="1.5"></polyline>
<polyline points="80,180 100,50 120,180" fill="none" stroke="#d0562a" stroke-width="1.5"></polyline>
<text x="55" y="26" font-size="11" fill="#1f1f1f">山は左へ逃げるが、高さは 1 のまま</text>
<text x="232" y="44" font-size="11" fill="#9a9a9a">n = 2</text>
<text x="152" y="44" font-size="11" fill="#9a9a9a">n = 4</text>
<text x="112" y="40" font-size="11" fill="#1b81e0">n = 8</text>
<text x="92" y="40" font-size="11" fill="#d0562a">n = 16</text>
<text x="55" y="208" font-size="11" fill="#9a9a9a">各点では 0 に収束するのに、上限は 0 に近づかない</text>
</svg>各点収束は「 を止めてから を動かす」順序で見る。 を先に大きくしても、山を置く場所を に合わせて選べば値は 1 のままである。順序の違いがそのまま結論の違いになっている。
問題 6:極限が不連続なら一様収束しない
連続関数の列 が に一様収束するなら は連続であることを示し、判定への使い方を述べよ。
解答 6
を取る。一様収束から、ある で となる。
は連続なので、点 で ならば とできる。
したがって は で連続である。 を 3 か所に割り振るこの形は、一様収束の議論で繰り返し現れる。
対偶を取ると判定に使える。連続関数の列の極限が不連続なら、その収束は一様でない。問題 1 の はこれで即座に片づく。
問題 7:一様コーシー条件
が一様収束することと、()は同値であることを示せ。
解答 7
一様収束するとする。三角不等式から であり、両辺の上限を取れば右辺は 0 に近づく。
逆を示す。各 で はコーシー列なので、実数の完備性から収束する。その極限を と置く。
が とすべての で成り立つとし、 とすれば を得る。右辺は によらないので一様収束である。
極限関数を知らずに一様収束を判定できるのが、この条件の値打ちである。
問題 8:ワイエルシュトラスの M 判定法
は 上で一様収束するか。
解答 8
によらない上界を探す。
は 級数として収束するので、M 判定法により一様収束する。
が を含まないことが要点である。 に依存する上界では、上限を押さえたことにならない。
問題 9:等比級数を閉区間で
とする。 は で一様収束するか。
解答 9
であり、 は収束する。M 判定法により一様収束する。
全体では一様収束しない。 で部分和と極限の差がいくらでも大きくなるからである。
収束する範囲の内側で閉区間を取れば通る、という形はべき級数で一般に成り立つ。次の問題で確かめる。
問題 10:べき級数の一様収束
の収束半径が のとき、 で一様収束することを示せ。
解答 10
では である。
収束半径の内側では級数が絶対収束するので、 は収束する。M 判定法により で一様収束する。
収束円の内部の閉区間ならどこでも通るが、半径いっぱいまで広げると保証は消える。区間を 1 つ内側に取るのが定石である。
問題 11:区間の端で崩れる級数
は で一様収束するか。
解答 11
各点では に収束する。一様収束を否定するには、残りの部分の上限を見る。
とすれば各項が に近づき、和は調和級数の尾になって発散する。どんな を取っても上限は有限にならない。
したがって一様収束しない。前問と同じく、 に制限すれば一様収束する。
問題 12:M 判定法が届かない級数
の一様収束を、 上と 上で判定せよ。
解答 12
だが は発散するので、M 判定法は使えない。
上では一様収束しない。和は で になり、 では 0 である。
極限関数が で不連続なので、問題 6 により一様収束ではない。
を固定した では一様収束する。ディリクレの判定法による。
の部分和が と によらず押さえられ、係数 が 0 へ単調減少するからである。
上界を項ごとに取る M 判定法では、符号の打ち消しを拾えない。部分和をまとめて押さえるのがディリクレの判定法である。
問題 13:ディニの定理
が連続、各 で 、 が各点収束とする。一様収束することを示せ。
解答 13
を固定し、 と置く。 が連続なので は閉集合であり、有界だからコンパクトである。
単調性から である。各点収束から、どの もいずれ の外へ出るので である。
コンパクト集合の減少列で共通部分が空になるのは、途中から空になる場合に限る。よってある で となる。
では なので、すべての で である。これが一様収束である。
各点収束に単調性とコンパクト性を足すと一様収束に上がる、というのがこの定理の内容である。
問題 14:ディニの定理で単調性が要る
問題 5 の三角関数列を使って、単調性の仮定が落とせないことを確かめよ。
解答 14
は で連続、各点で 0 に収束し、極限関数 0 も連続である。
ディニの定理の仮定のうち、 だけが成り立たない。実際 で 、、 と一度上がって下がる。
結論のほうも成り立たず、問題 5 で見たとおり一様収束しない。単調性は外せない仮定である。
ごとに を大きくすれば近づく。速さは によって違ってよい。
差の上限が 0 に近づく。連続性が極限に引き継がれ、項別積分も許される。
問題 15:項別積分
とする。 を確かめよ。
解答 15
問題 9 により で一様収束するので、項別積分が許される。
左辺は である。右辺は次のようになる。
両辺が一致する。 を 1 に近づけると両辺とも発散するので、 で同じことを主張することはできない。
問題 16:一様収束は項別積分の必要条件ではない
について と を比べよ。
解答 16
である。極限関数は を除いて 0 なので、その積分は 0 である。
一致している。問題 1 でこの列は一様収束しないと判定したので、一様収束は項別積分の十分条件ではあっても必要条件ではない。
判定が付かなかったからといって、積分と極限の交換が使えないと決めつけない。
問題 17:項別積分が壊れる例
について で同じ比較をせよ。
解答 17
を固定すると が より速く 0 へ行くので であり、 である。各点収束の極限は 0 である。
積分を計算する。部分積分から次が得られる。
交換が成り立たない。 から山の頂点は で、高さは である。
底辺が縮むぶん高さが伸びるので、面積が残ったまま山が原点へ寄っていく。
一様収束していれば起こらない現象である。上限が 0 に近づかない以上、面積が消える保証はない。
問題 18:一様収束しても項別微分はできない
について、一様収束と導関数の収束を調べよ。
解答 18
なので上限は であり、 上で 0 に一様収束する。
導関数は である。 では となり、収束すらしない。
極限関数 0 の導関数は 0 だが、 は存在しない。 自身の一様収束は、項別微分の根拠にならない。
正しい定理は導関数のほうに一様収束を課す。 が で、ある 1 点で が収束し、 が一様収束するなら、 は一様収束して が成り立つ。
が一様収束する
も一様収束する
項別微分が許される
問題 19:三角級数の項別微分
について、 が成り立つ範囲を調べよ。
解答 19
を固定する。 では、問題 12 により微分した級数が一様収束する。もとの級数も 1 点で収束するので、前問の定理から項別微分が許される。
は任意なので、 のすべての点で等式が成り立つ。周期性から、 の整数倍を除くすべての で正しい。
では成り立たない。 の閉じた形は で次のようになる。
は偶関数なので、原点の近くでは である。右微分係数が 、左微分係数が で、 で微分できない。
一方 である。この点では、右辺が値を持つのに左辺が存在しない。
項別微分の成立範囲は、微分した級数が一様収束する範囲で決まる。全体で成り立つとは限らない。
つまずきやすいところ
判定を誤るのは、上限を取る順序と、仮定の置き場所を取り違えるときである。
ごとに 0 へ行っても、上限が 0 へ行くとは限らない。山が高さを保ったまま逃げる例がある。
は によらない定数でなければならない。 を含む上界では上限を押さえたことにならない。
一様収束を課すのは導関数の側である。 の一様収束だけでは足りない。
十分条件であって必要条件ではない。 は交換できる例である。
迷ったら定義に戻り、 を の式として書き下す。最大値を微分で求めるか、うまい を代入して下から押さえるかのどちらかで決まる。
連続関数の列 が区間 で に各点収束し、 が で連続だとする。このとき言えることはどれか。
- は で一様収束する
- 一様収束するとは限らない
- がコンパクトなら必ず一様収束する
- 項別積分が必ず許される











高さ 1 の三角形が左へ逃げる列は [0,1] 上で連続、各点収束し、極限 0 も連続だが一様収束しない。単調性を足すとディニの定理で一様収束が言える。