ε-δ 論法は関数の極限を厳密に定義し証明するための言語である。論証力を養う。
問題1:基本的な証明
x→2lim(3x−1)=5 を ε-δ 論法で証明せよ。
解答1
任意の ε>0 に対して、δ=3ε とおく。
0<∣x−2∣<δ のとき
∣(3x−1)−5∣=∣3x−6∣=3∣x−2∣<3δ=ε
よって limx→2(3x−1)=5。
問題2:2次関数
x→1limx2=1 を証明せよ。
解答2
∣x2−1∣=∣x−1∣∣x+1∣
∣x−1∣<1 と仮定すると 0<x<2 で ∣x+1∣<3。
∣x2−1∣<3∣x−1∣
ε>0 に対して δ=min(1,3ε) とおく。
0<∣x−1∣<δ のとき ∣x2−1∣<3⋅3ε=ε。
問題3:有理関数
x→3limx1=31 を証明せよ。
解答3
x1−31=3∣x∣∣3−x∣
∣x−3∣<1 と仮定すると 2<x<4 で ∣x∣>2。
x1−31<6∣x−3∣
δ=min(1,6ε) とおくと、0<∣x−3∣<δ で
x1−31<66ε=ε
問題4:三角関数
x→0limsinx=0 を証明せよ。
解答4
∣sinx∣≤∣x∣(幾何学的に、または凸性から)を用いる。
ε>0 に対して δ=ε とおく。
0<∣x∣<δ のとき ∣sinx−0∣=∣sinx∣≤∣x∣<ε。
問題5:片側極限
x→0+limx=0 を証明せよ。
解答5
ε>0 に対して δ=ε2 とおく。
0<x<δ のとき ∣x−0∣=x<δ=ε。
問題6:無限大への極限
x→∞limx1=0 を証明せよ。
解答6
ε>0 に対して M=ε1 とおく。
x>M のとき x1−0=x1<M1=ε。
問題7:極限が無限大
x→0limx21=∞ を証明せよ。
解答7
任意の M>0 に対して δ=M1 とおく。
0<∣x∣<δ のとき x21>δ21=M。
問題8:極限が存在しない証明
x→0limsinx1 が存在しないことを示せ。
解答8
xn=nπ1 とすると xn→0, sinxn1=sin(nπ)=0
yn=(2n+1/2)π1 とすると yn→0, sinyn1=sin(2nπ+2π)=1
異なる極限を持つ列が存在するので、極限は存在しない。
問題9:複合関数
x→0limx2sinx1=0 を証明せよ。
解答9
x2sinx1≤x2(∣sin∣≤1)
ε>0 に対して δ=ε とおく。
0<∣x∣<δ のとき x2sinx1≤x2<ε。
問題10:δ の最適化
limx→af(x)=L の証明で、δ を ε の関数として最適に選ぶ必要があるか。
解答10
δ は「存在すればよい」ので最適化は不要。任意の正の δ′<δ も条件を満たす。
実用上は、δ を ε の簡単な関数(例:δ=ε, δ=ε/3 など)として構成すれば十分。
重要なのは「任意の ε>0 に対して、ある δ>0 が存在する」という論理構造である。