幅 δ が点によらないかどうか - 連続性と一様連続性の判定
は 全体で連続ですが、一様連続ではありません。 が大きいところほど傾きが急で、同じ に対して を狭めつづける必要があるからです。
違いは量化子の順序 つです。連続では点ごとに を選び直せますが、一様連続では つの が全体で効かなければなりません[1]。
以下は 問です。定義からの証明、一様連続でないことの示し方、リプシッツとヘルダー、閉区間での自動的な成立、拡張の定理まで並べました。
順序が違うだけ
つの定義を並べます[1]。
。 は と の両方に依存してよい
。 は だけで決まり、 に依存できない
が の前に出ました。それだけの違いで、成り立つ範囲が大きく変わります。
証明を書いたとき、 の式に や が残っていれば連続まで、残らなければ一様連続まで示せたことになります。
問題 1:定義から連続を示す
が で連続であることを示せ。
解答 1
任意の をとります。差を因数分解します。
なら で、 です。
の式に が入っています。点ごとに選び直しているので、示せたのは連続までです。
問題 2:一様連続でないことを示す
が で一様連続でないことを示せ。
解答 2
否定を書きます。ある に対し、どんな にも反例の 点があればよい。
とします。任意の に対して次の 点をとります。
ですが、差は を超えます。
をどれだけ小さくしても、遠くへ行けば反例が作れます。傾きが有界でないことが原因です。
問題 3:平方根は一様連続
が で一様連続であることを示せ。
解答 3
とします。次の不等式が成り立ちます。
両辺を 乗すると 、つまり で、 から従います。
と置けば で です。
に が入っていません。原点で傾きが無限になるのに一様連続、という点が意外なところです。
問題 4:閉区間なら自動的に成り立つ
が で連続なら一様連続であることを示せ。
解答 4
ハイネ・カントールの定理です[1]。背理法で示します。
一様連続でないとすると、ある と つの列があって次を満たします。
は有界閉なので、 は収束する部分列を持ちます。 とする。
なので でもあります。 の での連続性から、両方の像が に行く。
差が に行くことになり、 以上という仮定と矛盾します。
有界閉区間では、連続と一様連続が一致します。区別が要るのは、開区間や無限区間だけです。
問題 5:開区間では成り立たない
が で一様連続でないことを示せ。
解答 5
、 とします。差は です。
ところが像の差は一定以上です。
に対する がとれません。原点に近づくほど傾きが急になるためです。
閉区間 ()に制限すれば一様連続になります。問題は原点が入っていない開き方にあります。
問題 6:振動する例
が で連続だが一様連続でないことを示せ。
解答 6
の各点では、合成関数として連続です。 で が連続だからです。
つの列をとります。
どちらも に行き、差も に行きます。ところが値は と で離れたままです。
に対する がとれません。値が有界でも、振動が速ければ一様連続にはならない。
問題 とは事情が違います。あちらは値が発散し、こちらは有界のまま振動しています。
問題 7:リプシッツ連続
がリプシッツ連続であることを示し、一様連続を導け。
解答 7
平均値の定理から、 と のあいだに があって次が成り立ちます。
定数 でリプシッツ条件を満たします[2]。 と置けば一様連続です。
導関数が有界であることとリプシッツ連続であることは、微分できる関数では同値になります[2]。
が一様連続でなかったのは、導関数 が有界でないからです。 つの結果がつながります。
問題 8:ヘルダー連続
()が で一様連続であることを示せ。
解答 8
が成り立ちます。これがヘルダー条件です[2]。
と置きます。 なら差は 未満です。
がリプシッツ、 がヘルダーです。原点で微分できなくても一様連続になります。
問題 の は の場合にあたります。
問題 9:一様連続の積
が一様連続で有界なら、積 も一様連続であることを示せ。
解答 9
、 とします。差を つに割ります。
を 等分し、それぞれの一様連続性から 、 をとります。 です。
有界性を落とすと成り立ちません。 は で一様連続ですが、積の はそうではない。
問題 10:拡張の定理
が で一様連続なら、 に連続に拡張できることを示せ。
解答 10
となる列をとります。一様連続性から はコーシー列です。
なら となり、 が収束することから条件が満たされる。
実数の完備性から は収束します。極限を とします。
が列の選び方によらないことも、一様連続性から出ます。 本の列を交互に並べた列を考えればよい。
と定めれば連続に拡張されます[1]。 が拡張できないのは、一様連続でないからです。
問題 11:至るところ不連続
ディリクレ関数(有理数で 、無理数で )がどの点でも不連続であることを示せ。
解答 11
を有理数とします。 に収束する無理数の列 がとれます。
で なので、極限と値が一致しません。
が無理数なら、有理数の列で同じことが起きます。どちらの場合も不連続です。
有理数も無理数もどちらも稠密であることが効いています。どの点のどんな近傍にも、両方の値が現れる。
問題 12:片方だけ連続
トマエ関数(既約分数 で 、無理数で )の連続性を調べよ。
解答 12
無理数 で連続です[3]。 に対し、 となる分母 は有限個しかありません。
そうした分数も、 の近くには有限個しかない。それらを避けるように をとれば、 になります。
有理数 では不連続です。 なのに、近くの無理数で値が だからです。
不連続点も連続点もどちらも稠密です。それでもリーマン積分は可能で、値は になります[3]。
問題 13:区間を変えると変わる
が で一様連続であることを示せ。
解答 13
問題 のハイネ・カントールの定理から直ちに従います。有界閉区間で連続だからです。
直接示すこともできます。 なので、押さえが点によりません。
で足ります。リプシッツ定数が になった形です。
同じ関数でも、区間を有界に切れば一様連続になります。関数だけでなく定義域とセットで判定します。
問題 14:無限区間でも一様連続な例
が で一様連続かどうか判定せよ。
解答 14
導関数は で、有界ではありません。リプシッツではない。
一様連続でもありません。 つの列をとります。
差は です。ところが値は と で離れたまま。
有界な関数でも一様連続とはかぎりません。振動が速くなることが原因で、問題 と同じ形です。
問題 15:判定の手順
与えられた関数と区間について、一様連続かどうかを判定する手順をまとめよ。
解答 15
順に見ます。まず定義域が有界閉なら、連続でありさえすれば一様連続です[1]。
そうでなければ導関数を見ます。有界ならリプシッツで、一様連続になります[2]。
導関数が有界でなくても、 のようにヘルダー条件を満たせば一様連続です。
どれも当たらなければ、 つの列で否定を示します。差が に行くのに像の差が離れたままの組を探す形です。
定義域が有界閉か
導関数が有界か
ヘルダー条件を満たすか
どれも当たらなければ 2 つの列で否定する
つまずきやすいところ
順序と定義域で誤ります。
や が入っていれば、示せたのは連続までです。
同じ でも、 では一様連続でなく では一様連続です。
も も有界ですが、一様連続ではありません。
つ具体的に選び、どんな にも反例があることを示します。
が点に依存しているかどうか。答案を読み返してこの 点を確かめれば、どちらを示したかが分かります。
が一様連続になる区間はどれですか。
よくある誤り
判定は定義域を見るところから始まる。有界閉なら終わり、そうでなければ傾きを見ます。
参考文献
[1] が一様連続の定義・量化子の順序・ハイネ・カントールの定理・拡張の定理、[2] がリプシッツ連続とヘルダー連続および導関数との関係、[3] がトマエ関数、[4] がドイツ語での定式化、[5] がディリクレ関数です。










[1,∞) では導関数 −x21 の絶対値が 1 以下で有界です。リプシッツ連続なので一様連続になります。原点を含む側では傾きが際限なく急になります。