母分散の検定(カイ二乗検定)

母分散の検定は、母集団の分散が特定の値であるかどうか、または二つの母集団の分散が等しいかどうかを判断する手法です。正規母集団を仮定し、カイ二乗分布や F 分布を用います。

一つの母分散の検定

が正規分布 からの無作為標本のとき、: を検定します。

検定統計量は

で、帰無仮説のもとで自由度 のカイ二乗分布に従います。

両側検定 : では、 または のとき帰無仮説を棄却します。カイ二乗分布は非対称なので、両側検定では上側と下側の棄却点を別々に求めます。

片側検定 : では のとき、: では のとき棄却します。

母分散の信頼区間

同様の議論から、母分散 信頼区間は

で与えられます。

二つの母分散の比の検定

二つの正規母集団 からそれぞれ大きさ , の無作為標本を取り、: を検定します。

検定統計量は

で、帰無仮説のもとで自由度 の F 分布に従います。

両側検定では または のとき帰無仮説を棄却します。

注意点

母分散の検定は正規性の仮定に敏感です。母集団が正規分布から外れていると、検定の信頼性が低下します。正規性が疑わしい場合は、ルビーン検定やバートレット検定などのロバストな方法を検討する必要があります。

また、二標本 t 検定の前に等分散性を F 検定で確認することがありますが、この方法は推奨されなくなっています。最初からウェルチの t 検定を使うか、より頑健な方法を選ぶのが現代的なアプローチです。