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連続修正を入れないと 2 割ずれる - 二項分布の計算問題

コインを 100 回投げて表が 60 回以上出る確率は 0.02844 です。正規分布で近似すると 0.02275 になります。

2 割ほど低い。境目を 59.5 にずらして計算すると 0.02872 で、こんどはほぼ一致します。

この 0.5 がどこから来るのかを含めて、二項分布の計算を通していきます。

確率の式

回の独立な試行で、各回の成功確率が のとき、成功回数 の分布は次で与えられます[1]。

は 回の成功をどの回に割りあてるかの通り数、残りが確率の積です。

期待値と分散も式で出ます[1][2]。

分散は で最大になります。当たるか外れるか五分五分のときが、いちばん予測しにくい。

例 1:10 回で 6 回

、 で を求めます。

なので確率の積が によらず になり、組み合わせの数だけで決まります。

期待値は 、分散は 、標準偏差は 1.581 です。

6 回は平均から 1 だけ上で、標準偏差の 0.63 個ぶんにあたります。ごくふつうに起きる値。

例 2:分数のまま

、 で を出します。

です。分母をそろえて にしておくと、途中で小数にせずに済みます。

期待値は 、分散は 。

累積確率

「 回以上」を求めるときは、1 つずつ足します。、 で なら 7、8、9、10 の 4 つ。

足す個数が少ないほうを選びます。 なら、 として 3 個で済ませるほうが速い。

例 3:不良品の個数

不良率 2% の工程から 100 個をとります。不良品の個数を とすると 、。

。 まで足すと 0.67669 になります。

したがって 。3 個以上出ることは、3 回に 1 回起きます。

期待値は 2 個です。「平均 2 個なら 3 個以上はめずらしい」と考えると外れます。

ポアソン近似

が大きく が小さいとき、 を使った次の形で近似できます[2]。

さきほどの例では です。 の近似値は 。

正確な 0.67669 とほぼ一致しました。個別の では 0.13534 と 0.13262 で少しずれますが、累積では打ち消し合います。

が 3 桁で が 1% 前後なら、階乗を含む式より軽く済みます。

正規近似と 0.5

が大きく が極端でないときは、正規分布で近似できます。ただし棒グラフを曲線で置きかえるので、境目の扱いが要ります[2]。

式の中の が連続修正です。 という棒は 59.5 から 60.5 までの幅を持つ、と見なす。

修正なし

を境目にする。棒の左半分が数え落とされる

連続修正あり

を境目にする。 の棒がまるごと入る

例 4:3 通りの答えを並べる

、 で を 3 通りに出します。

求め方値正確な値とのずれ
1 つずつ足す0.02844—
正規近似(修正なし)0.0227520.0% 低い
正規近似(連続修正)0.028721.0% 高い

修正なしでは 2 割ずれました。 の棒の左半分が数え落とされているためです。

が大きくなるほど 1 本の棒が細くなるので、ずれは小さくなります。それでも入れておくほうが安全です。

例 5:まとめて計算する

、 の場合を通します。期待値 6、分散 4.2、標準偏差 2.049。

で、これが最も高い確率です。最頻値は にあたります。

、。平均から 離れた外側が、合わせて 35% ほど。

標準偏差が 2.05 なので、 は 1.5 個ぶんです。正規分布なら 13% 程度の位置ですが、こちらは 35%。 が小さいうちは形が違います。

、 の二項分布で、標準偏差はいくつですか。

  • 約 3.46
  • 20
  • 12
__RESULT__

分散は なので、標準偏差はその平方根で 3.464 です。20 は期待値 、12 は分散そのものになります。

小さい なら定義どおりに足し、 が小さければポアソン、 が大きければ正規に 0.5 を添えて。使い分けの境目は、棒の細さで決まります。

出典

Binomial Distribution. NIST/SEMATECH e-Handbook of Statistical Methods.
Binomial distribution. Encyclopedia of Mathematics.
Abraham de Moivre, *Approximatio ad Summam Terminorum Binomii (a+b)^n in Seriem expansi*, 1733. Helen M. Walker 編訳.
コインを 100 回投げて表が 60 回以上出る確率は 0.02844。正規分布でそのまま近似すると 0.02275 で 2 割低く、境目を 59.5 にずらすと 0.02872 でほぼ一致します。$X = 60$ の棒が幅 1 を持っているためです。10 回で 6 回なら $210/1024$、$n = 6$、$p = 1/3$ なら $240/729$ と、分数のまま進める計算も通します。不良率 2% で 100 個とると 3 個以上出る確率が 0.32331 で、平均 2 個という数字から受ける印象とは違う。$\lambda = np$ のポアソン近似が累積で 0.67668 と 0.67669 まで合うこと、$n = 20$、$p = 0.3$ の裾が正規分布とどれだけ違うかまで。