積分は微分の逆なので、公式も微分をひっくり返せば出ます。
∫sinxdx=−cosx+C,∫cosxdx=sinx+C
負号の位置が入れ替わりました。微分では cos に負が付き、積分では sin に付きます。
確かめは微分するだけ。(−cosx)′=sinx なので、確かに戻ります。
問題になるのは公式にない形です。sin2x も sin3x も sin3xcosx も、表には載っていません。
そのまま積める 3 本
| ∫sinxdx | −cosx+C |
| ∫cosxdx | sinx+C |
| ∫cos2x1dx | tanx+C |
3 本目は (tanx)′=cos2x1 の裏返しです[3]。
中身が ax になると、外に a1 が出ます。微分で a が出たぶんを打ち消す形。
∫sinaxdx=−a1cosax+C,∫cosaxdx=a1sinax+C
∫sin3xdx=−31cos3x+C です。3 を掛けるのではなく割ります。
2 乗は半角で落とす
sin2x には原始関数の公式がありません。まず 1 次式へ落とします[1]。
sin2x=21−cos2x
こうなればそのまま積めます。
∫sin2xdx=∫21−cos2xdx=2x−4sin2x+C
cos2x なら符号が逆になり 2x+4sin2x+C。
2x という項が出るところが要です。三角関数を積んだのに、三角関数でない項が残ります。
意味もあります。sin2x の平均は 21 なので、長い区間で積むと 2x のように増えていく。
積は和に開く
∫sin3xcosxdx は積のままでは積めません。積和で開きます[2]。
sin3xcosx=21{sin4x+sin2x}。
∫sin3xcosxdx=−81cos4x−41cos2x+C
21 に、それぞれの中身の 41 と 21 が掛かった係数です。
∫sinxcosxdx は 2 倍角のほうが速い。sinxcosx=21sin2x なので −41cos2x+C。
2sin2x+C と書いても正解です。2 つの答えは定数だけ違います。
−41cos2x=−41(1−2sin2x)=2sin2x−41。差は 41 で、C に吸収されます。
原始関数が 見た目の違う 2 通り で出るのは、よくあることです。
差が定数なら、どちらも正しい。引き算して定数になるかどうかで確かめられます。
奇数乗は 1 つ外して置きかえる
∫sin3xdx を求めます。半角では 3 乗が落ちません。
sinx を 1 つだけ外し、残りを cos で書きます。
sin3x=sinx⋅sin2x=sinx(1−cos2x)
u=cosx と置くと du=−sinxdx。外した sinx が、ちょうど du に化けます。
∫sinx(1−cos2x)dx=−∫(1−u2)du=−u+3u3+C
u を戻して −cosx+3cos3x+C です。
奇数乗なら必ずこの手が効きます。1 つ外せば偶数乗が残り、相互関係でもう一方に書き換えられるため。
偶数乗のときは外せません。半角で次数を下げる道を使います。
tan の積分
∫tanxdx は cosxsinx と書き直します。
分母の微分が −sinx、つまり分子の −1 倍になっています。
u=cosx と置くと du=−sinxdx なので ∫u−du=−log∣u∣+C。
∫tanxdx=−log∣cosx∣+C
絶対値が要ります。cosx は負にもなるためです。
定積分では対称性が効く
∫−aasinxdx は計算せずに 0 と分かります。sin が奇関数だからです。
原点の左右で符号が反対の面積が出て、打ち消し合う。
cos は偶関数なので ∫−aacosxdx=2∫0acosxdx になります。片側を 2 倍すれば済む。
∫−ππxsinxdx はどうでしょう。x が奇、sinx が奇なので、積は偶関数です。
だから 2∫0πxsinxdx と半分に減らせます。部分積分で計算すると 2π。
積分する前に偶奇を見る。それだけで手数が半分になることがあります。
まちがえやすい点
∫sinxdx を cosx とする符号ミスが最も多い。負号が付きます。
微分と積分で負号の付く相手が入れ替わる、と押さえます。微分は cos、積分は sin。
∫sin3xdx で 3 を掛けてしまう誤りもよく起きます。割るほうです。
∫sin2xdx を 3sin3x とする誤りも根強い。微分して確かめれば、すぐ違うと分かります。
積分定数 C の書き忘れも減点になります。不定積分では必ず付けます。
∫cos4xdx はどれですか。
- 41sin4x+C
- 4sin4x+C
- −41sin4x+C
__RESULT__
∫cosaxdx=a1sinax+C です。a=4 なので 41sin4x+C になります。微分して確かめると 41×4cos4x=cos4x で、もとに戻ります。
2 乗の形も確かめます。
∫0πsin2xdx の値はどれですか。
__RESULT__
sin2x=21−cos2x に直すと [2x−4sin2x]0π=2π です。sin2x の平均が 21 で、幅が π なので 2π、と読むこともできます。
そのまま積めるか確かめ、無理なら次数を下げるか和に開く。積分はこの判断から始まります。
参考文献
Double-Angle, Half-Angle, and Reduction Formulas. Algebra and Trigonometry 2e, OpenStax(次数を下げる公式). Sum-to-Product and Product-to-Sum Formulas. Algebra and Trigonometry 2e, OpenStax(積和で積を開く). Trigonometric functions. Encyclopedia of Mathematics((tanx)′=cos2x1).
$\int \sin x\, dx = -\cos x + C$ で、微分のときとは負号の付く相手が入れ替わります。困るのは公式にない形のほう。$\sin^2 x$ は $\dfrac{1-\cos 2x}{2}$ に落としてから積み、$\sin 3x\cos x$ は積和で和に開きます。$\sin^3 x$ のような奇数乗は $\sin x$ を 1 つ外して $u = \cos x$ と置けば片づく。$\int \sin x\cos x\, dx$ が $-\dfrac{1}{4}\cos 2x$ とも $\dfrac{\sin^2 x}{2}$ とも書ける理由、$\int \tan x\, dx$ に絶対値が要る理由、偶奇で手数を半分にする手まで。
∫cosaxdx=a1sinax+C です。a=4 なので 41sin4x+C になります。微分して確かめると 41×4cos4x=cos4x で、もとに戻ります。